走る合法ドラッグ



今月は今朝で20回、122キロ


ほとんど毎朝走ってる。なぜか、朝起きて、一仕事終わると、うずうずしてくる。


まるで脳の中に執事みたいなのがいて「旦那、今朝は走らなくていいんですかい」と囁かれているかのようだ。そう言われると、走りたくなる。能書きをたれるなら、朝一番はたいてい、きつめの仕事をしているので、それを終えて、次の仕事に向かうための気分転換、と理解している。


でも、どうやら、そうではなさそうだ。


特にきつい仕事をしなくとも、起きて1時間半ぐらい経つと走りたくなる。前夜いささか飲酒量が規定より多かったとしても、走ればなんとかなると前向きに考えてしまう。実際、走りだすと(正確にはよたよた動き出すと)徐々に体がほぐれてくるのがわかる。


中学校で卓球部に入り、ひたすら走ることを強いられた。おかげで高校1年の校内マラソン大会では、全校で10番ぐらいになった。それからずっと、走ることは嫌いではない。ただ、住む場所によって走れたり走れなかったりという日々を送ってきた。


40歳から空手を始めて、がんばって走るようになった。最低限の基礎体力をつけておかないと、若い人たちにボコにされる。幸い、自営業ゆえに、走る時間はなんとでも都合をつけることができる。がんばって走った。


そして5年半ほど前に京都に引っ越してきて思った。走るところないやん。京都のど真ん中に住んでいるために、どっちを向いてもアスファルトの道しかない。こんなところで走れますかいな、である。


けれども、なぜか京都マラソンに応募したら当選してしまい、走らなければならなくなった。走ってみれば、実はこの町には走るコースがいくらでもあることがわかった。まず鴨川沿いである。御所の中もいい。東山に上がればトレイルコースもある。町中にしても、意外と走るのがおもしろい変化に飛んだところなのだ、京都は。


去年、とりあえず毎月100キロ走ろうと決めた。距離に特に意味は無い、ただ、キリの良い数字だと思ったのだ。が、月100キロはなかなかきつい。だいたい70キロとか80キロで終わってしまう。と、ある人が「自分で決めた目標だからこそ、守らなきゃダメでしょ」と諭してくれた。


そこで秋ぐらいから、意識して走るようになった。続けて走ると、走ることがおもしろくなった。気持ち良いといった方が正確な表現だろう。おそらくはβ-エンドルフィンとドーパミンセロトニンの仕業である。


脳内麻薬である。最近、話題の脱法ドラッグなどではない。体を動かすことで、脳内に自然に分泌されるホルモンである。もちろん違法ではなく、極めて合法である。合法とはいえ「麻薬」カテゴリーに分類されるだけあって、中毒性があるのだろう。はまるのだ。


だから、こいつを脳内に満たすために走っている。というのが真相じゃないのか。その結果、思わぬ副産物があった。体型が明らかに変わったのだ。以前履いていたパンツを履けなくなったため、もったいないことになったともいえるが、息子のおフルをもらえるので収支トントンかもしれない。むしろ、息子の着ているもののほうが明らかに高価であるため、効率化を図ったと言ってもいいぐらいなのかもしれない。


とはいえ、歳が年である。膝のクッションなどが弱っていることを鑑みて、腸腰筋などの体幹筋肉を鍛えて、かつ走り方も可能な限り足裏を地面から話さないヘタレ走法に徹している。おかげで若い頃よく痛めた膝蓋腱のトラブルもない。


β-エンドルフィンは多幸感をもたらすらしい。そういえば、いろいろつらいこともあるけれど、とりあえず不幸は感じない。ドーパミンはワクワク感、高揚感、達成感を与えてくれるという。こいつは今のところあまり実感がないな。セロトニンは心を安定させてくれるという。確かに、かなりキツイことがあっても、走っている間はたいてい忘れている。


脱法ドラッグやってる人、そんなのやめて、走りませんか。そうすれば極めて合法的に、かつお金もかけずに、もっと気持ちよくなりますよ。ましてや、人に迷惑かけることなど、まずありませんから。と思いました。




昨日のI/O

In:
京都大学農学部取材
Out:
九州大学I2CNER情報誌原稿

昨日の稽古:

ジョギング、筋トレ