ハーレーの秘密とは


売上高営業利益率21.6%(2002年12月期)


少し古いデータで申し訳ないが、売上高4900億の企業でここまで高
い営業利益率を上げているところは滅多にない。これがハーレーダビッ
ドソン社である(週刊ダイヤモンド2003年10月18日号)。


この利益率がどれぐらいすごいか。日本のオートバイメーカーと比べて
みれば、よくわかる。利益率では日本勢トップがスズキで8%、最下位
ヤマハは4%弱(2003年3月期)。ダントツというか、ほとんど
同じ業界の話とは思えない。


利益率が高いということは、付加価値が大きいと考えられる。では、ハ
ーレーを買う人は、どんな価値を認めているのだろうか。


ハーレーは一台200万ぐらいする大型バイクだ。免許制度が改正され、
バイクの大型免許を教習所で取れるようになった。とはいえ大型自動二
輪免許の保有者は全国で10万人もいない。
http://www9.plala.or.jp/hiyotrio/newpage014.htm


極めてニッチなマーケットである。しかし、ハーレーはトップシェアを
取っている。ハーレーと日本製のバイクはどこが違うか。ここがとても
おもしろいところだ。


日本車と比べれてハーレーは、
●遅い
●でかい
●うるさい
おまけに高い
更に乗りにくい


ほんまかいな、と思うでしょ。でも、これ本当の話。それで、なぜ売れ
るのか。というよりも、だからこそ売れるのだ。


日本車より遅いといっても750以上の排気量があるわけで、すでに十
分に速い。バイクの加速力がどれだけすごいかは、たとえば私が20年
以上前に乗っていたRZ350というバイクでゼロヨンが4秒台だったこ
とでおわかりいただけると思う。ちなみにゼロヨン4秒台ってポルシェ
とかより早かったんじゃないかな(記憶が定かでないので、間違ってい
たらごめんなさい)。


いいたいのは、大型自動二輪で速さを競っても仕方がないということだ。
そしてでかさ。これはステイタスシンボルになる。今でこそ教習所で免
許を取れるようになったが、昔はナナハン免許といえば、限定解除とい
うものすごく難しい実技試験を受けないと取れなかった。嘘かホントか
知らないが、各都道府県ごとに毎年、受験者の1%未満しか合格させな
い、なんて話さえあったぐらいだ。


とりあえず大型免許持ってんだぜってのは、自慢になるわけで、そうい
うことを自慢したい人(結構多いはず)にとっては、バイクはでかいほ
どいい。


うるさい、というのは心地よい音とも取れる。ここにはハーレーのこだ
わりがあって、開発段階で車体に高性能マイクを当ててノイズを徹底的
に取り除いているそうだ。


さらにはフィール。これが大きい。ドゥドッドッドッドッというハーレ
ー独特のビッグエンジンは、かなり振動感がある。日本製のバイクがあ
くまでもモーターのような滑らかな吹け上がりを指向するのとは、まっ
たく正反対だが、これが受けた。


そして乗りにくいのを乗りこなしてこそ………、みたいな。ね、わかる
でしょう。


要するに趣味に200万も出すのだから、それなりの味わいやこだわり
が欲しい。そんな人たちに受ける仕掛けがハーレーにはあるのだ。


その極めつけがハーレー・オーナーズ・グループである。この会員組織
では定期的にイベントを開き、さらには自分だけのハーレーを作るため
の装飾品の紹介なども盛んに仕掛けている。


ということでハーレー成功の秘密は、一言で言えば脱・バイクメーカー
ビジネスモデルにある。バイクを売るのではなく、ハーレーという特殊
なバイクと過ごすホビーライフを提供する。


技術競争、価格競争に明け暮れるバイク市場とは、まったく違った土俵
で勝負しているからこその独り勝ちといえるだろう。


昨日のI/O

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R誌特集2稿
R社社長インタビュー原稿


昨日の稽古:

 腹筋(だけ)