成功者の巨額の社会還元


寄付金4兆円


万でも億でもなく「兆」、これ漢字を打ち間違えたわけじゃありませんから。世界第二位の資産家といわれるウォーレン・バフェット氏が、史上最大の寄付を行うらしい(日経産業新聞6月28日)。バフェット氏は以前から、個人資産の99%を寄付に回すと公言してきた。その個人資産たるや420億ドルである。円換算すれば、ざっと4兆8000億。うん?


まったく想像がつきませんです。


個人資産の99%を寄付に回すってことは手元に残るのは、たったの1%。その1%がいくらになるかといえば480億円ですね。はぁ〜。ちなみにバフェット氏はいま御歳75。仮に百歳まで生きるとして、あと25年で480億使える計算になる。ということは一年あたりの予算が19億ぐらいで、それなら1ヶ月あたりに割りふればだいたい1億6千万ぐらいになるから、えっと一日の小遣いは530万! どうやって使たらええねん。なんてのは、まったく余計なお世話だろう。


さてバフェット氏はかくも成功したビジネスマンであるわけだが、何をして彼がそんなにも稼いだのかといえば投資である。その投資手法がいかに優れているかは、我が(勝手に、一方的に、こちらがそう呼んでいる)師・板倉雄一郎さんがさんざん書いているので、そちらをご覧あれ。
http://www.yuichiro-itakura.com/


とりあえず実績だけを見ても、ものすごいことになっている。バフェット氏が運営する投資会社バークシャー・ハザウェイの平均運用成績は1965年以来で21.5%にもなる。今の日本の金利は何%でしたっけと考えてみるに、何とかして彼にお金を預けることができれば、日本の銀行に貯金するのと比べて2000倍ぐらいの利回りをつけてくれることになりそうだ。


氏の基本的な考え方は「人々が最も得意とする分野でできるだけ長く働けば、それだけ社会全体が富む」というもの。確かにそれだけ稼いで(=価値を提供したからこその対価なんだろう)、稼いだお金を寄付に回す(=社会に還元する)のだから、これは見事な言行一致だ。


寄付先はあのビル・ゲイツ氏が運営する慈善財団である。その理由がまたふるっている。「自分には集めたお金を増やす投資家としての才能はあるものの、増やしたお金を社会へ還元する才能は持ち合わせていない」からだと。これまたあっぱれな割り切り方というか、分のわきまえ方というか。


さらにアメリカの税制とバフェット氏の寄付する財産の形が微妙に絡んでおもしろいことになる。氏が寄付するのはバークシャーの株だ。株であるということは換金しない限りアメリカの場合税はかからない。4兆円相当もの巨額の寄付がなされているのに、それは政府を丸々スルーしていくのである。これが何と痛快なことか。


非効率の固まり(といっても日本よりはずいぶんとマシだと思うけれど)のような官僚組織を経ることなく(税によって徴収されることもなく)、ホントにお金をうまく使ってくれるところに、たんまりと寄付する。アメリカ政府だって決して黙って見過ごしたくはないのだろうけれども、手の打ちようがない。


数え上げればキリがないぐらいの欠点は抱えているにせよ、こうした寄付が実現する分だけアメリカはまだ、希望を持てる国じゃないかと思う。そこにはバフェット氏のような寄付をする人物もいる。ビル・ゲイツだって自分の子どもにはほとんど資産を残さず、寄付に回すのである。日本のどこかの大金持ちが、バフェット氏並みにとはいわないけれど、話題になるほどの寄付をしたなんて話は寡聞にして聞いたことがない。


なんだかんだいって日米の何かの差が、こうした寄付行為に現れているんじゃないだろうか。といいつつヨーロッパなどではどうなんだろうと疑問に思ったりもする。


昨日のI/O

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・カーツジョグ&ダッシュ
・レッシュ式腹筋、腕立て

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