なんでビデオカメラを売らないの?


5%vs7.5%


現時点でビデオカメラを持っていない人のうち、今後一年以内に購入する計画を持っている人が5%。一台以上持っている人で、一年以内に購入計画を持っている人が7.5%。つまりビデオカメラマーケットでは、新規需要よりわずかではあるが買い替え需要の方が高い(日経MJ新聞10月11日)。


では、ビデオカメラマーケットは飽和しているのか。あくまでも日経MJ紙の調査データによればの話だが、20〜60歳を対象としたネット調査の結果ではビデオ所有者は千人中424人しかいない。年齢別にみれば、所有率の最も高いのが40代の58%、一方20代は26%に過ぎない。ネット調査ということはその対象者はある程度、こうしたデジタル家電にも慣れ親しんでいることが想定される。にも関わらずの数字である。


これは不思議だ。


では、なぜビデオを買わないのだろうか。新聞の記事には不買理由が掲載されていないので、あくまで推測するしかない。ヒントとなるのは所有者の利用頻度である。これによれば「二,三ヶ月に一度」「半年に一度」「一年に一度」がいずれも20%台前半で並んだという。つまり持っていても、ほとんど使っていないのが現状なのだ。


さらに突っ込む。


それなら、せっかくビデオを持っているのに、なぜ使わないのか。運動会、旅行などのイベント以外には使う機会がない、と思い込んでいるからだろう。ということは、ビデオマーケットにはもしかしたら実に豊かな未開拓ゾーンが残されているのではないのだろうか。


よく使われるたとえ話ではないけれど、アフリカへ靴を売りにいって「しめた! ここでは、まだ靴を履いている人なんて、ほとんどいない」と欣喜枝雀したセールスマンの心境である。ところが実際には家電マーケッターの多くが「所詮、ビデオは日本では売れないんだよ。だって、だれも使わないんだから」と思っているのかもしれない。


使っていないのなら、どんどん使ってもらえばいい。そこで誰に、どうやって使ってもらうのかを考えるのがアイデアとなるわけだが、すぐに浮かんでくるのが、これからビデオを撮る時間をたくさん持つようになる人たちである。といえば団塊世代のことになるが、じゃあ彼らに何を撮ってもらうのか。


そんなの何でもいいのだ。孫はすぐに出てくる案だからおくとして、趣味の習い事(ビデオ撮影には最適だ)、旅行(=団塊の希望マーケット)、さらには奉仕活動でもいいし、日常生活もあり。情報誌第一世代の自負をくすぐれば、自作シナリオによるビデオ作品制作なんて線も充分にありだろう。というか、これはもしかしたら『団塊のためのビデオ作品制作教室』なんてビジネスさえ成立するのではないのだろうか。


そして、撮るだけじゃないのである。撮ったビデオはプライバシーに絡むもの以外は、人に見せたくなるものだ。そのためのインフラもできている。まず本来はそうしたニーズに応えるためにYouTubeが登場したはずだし、動画投稿サイトサービスは、これから日本でも普及してくるだろう。SNSでも画像の次は、動画となるはずである。


そこまでいけばプライバシー問題もクリアできるだろうから、さらに動画投稿への意欲は増すだろう。もちろん通信インフラもブロードバンド大国日本なら、何の問題もない。やがて携帯が高速化してくれば、自分で撮った動画をネット上にアップしておいて、必要に応じて携帯で見て/見せて楽しむ。なんて使い方もある。


となってくれば、これは何も団塊世代だけを対象とした話ではない。特に表現意欲の旺盛な10代、20代などにも当てはまるはずだ。ポイントは、写真と比べればかなり長時間が必要となる撮影のための時間を持っている人たちは誰か、である。


のに、どの家電メーカーも、どうしてビデオカメラのプロモーションに力を入れないのだろう。とても不思議だ。


昨日のI/O

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昨日の稽古:

・懸垂(腰の具合も良くなってきたので、ぼちぼちこれぐらいから)