数学も面白いのに


一問につき6つぐらいは解法がある。


数学の問題の話。たとえば時計の短針と長針は12時ちょうどに重なっている。これが次に重なるのは、何時何分かといった問題がある。この問題、ものすごく昔の記憶をたどると、たしか自分が受けた中学の入試に出ていたような気がする。


どっちにしても小学生の算数でも解けないことはない問題だということだろう(どうやって解いたのかは忘れちゃったけれど、たぶん旅人算を使ったんじゃないだろうか)。これが中学生になれば、方程式を使って解けるはずだ(はずですよね? 確か)。


なぜ、この時計問題を取り上げたかといえば、これが実にマイクロソフトの入社試験問題でもあったからだ。『ビル・ゲイツの面接試験』という本に出ている。(ついでに、何でこんな本を読んでいるかといえば、ある会社の入社三年目まで社員を対象とした研修をやらせてもらっていて、研修のウォーミングアップテストとして、ビル・ゲイツの面接試験問題を使わせてもらっているからですね、余談ですけど)。


さて。小学校の旅人算で解くことができ、方程式でも解けるこの問題は実は、もっとスマートに解くことができる。これを元マイクロソフトの社員だったSatoshi Nakajimaさんは「エレガントな解法」とおっしゃっている。
http://satoshi.blogs.com/life/2006/06/post_2.html


マイクロソフトが面接試験で問うのも、この「エレガントな解法」で解けるかどうかである。では、なぜ旅人算や方程式ではいけないのか。別にいけないわけはないのだ。要は間違いなく解ければ良いのだけれど、エレガントな解法で解けば、間違う危険性が少なく、同時に早く答を出せるからである。

プログラミングにしろ数学の計算にしろ、複雑になればなるほど「うっかりミス」は生じやすい。となれば、出来るだけミスの生じにくい、直感的でエレガントな解き方を見つけるべきなのである。極力バグを減らす。極力計算ミスをなくす。全く同じことである。その意味でも、「人間にミスはつきもの」という前提のもとで、「いかにミスが生じにくいような解き方・プログラムの書き方をするか」を常に真剣に考えるクセを身に着けておくことは大切である。
http://satoshi.blogs.com/life/2006/06/post_2.html


ここで浪人時代のことを思い出す。一応、国立大学文系を志望していたので、数学は数2までやらなければならない。苦手だったけれども、だからといって捨てるわけにもいかない。二次試験が数学、英語、国語の三教科だけとなれば、数学の比重が大きいのだ。そこで浪人の特権、時間だけはたっぷりあることを活かして、数1からじっくりと復習していった。


そこで出会ったのが『大学への数学』なる月刊誌である。通称『大数』、調べてみると未だに健在のようだ。これが実に難解な月刊誌だった。演習問題とその解説、さらには紙上「学力コンテスト」と称して、超・難解なテスト問題が毎月出される。これはその名の通りのコンテストとなっていて、応募して優秀な成績を収めれば次号か次々号で模範解答として紹介される。


早い話が数学オタクのための雑誌であり、かといって文系数弱少年にとっても、何となく憧れの対象みたいな雑誌であった。そして、この雑誌の演習問題と解説が、実にエレガントだったのだ。


特にエレガントだったのがベクトルや行列の解法である(うろ覚えだけれど)。そもそもベクトルや行列となると何が何だか状態だった自分にとっては、その手の問題は一目見ただけで「これムリ、さっぱ、わっかりましぇ〜ん」と反応するしかなかった。


しかしである。物事には本質というものがある。ベクトルの本質、行列の何たるかを理解しないままいくら練習問題を繰り返しても、国立一期の入試問題を解けるレベルには到達しない。逆にいえば本質さえ掴めば、解ける可能性もあるということだ。


そこでである。何がきっかけになったのかはもう覚えていないが、この『大数』でベクトルの演習問題を考え、解説を読んでいる時に「おぉ〜、そうであったか」と自分の頭が一気にスマートになった瞬間があった。


「わかった」のである。それから行列も確たる手応えとまではいかなかったにせよ、理解できたのである。そのとき手助けとなった解説は、教科書には決して書かれていないような内容だった。おそらくはとてもエレガントな解法だったのだろう。


ということでくどくど書いてきた結論は、数学も実はおもしろいということだ。前回のエントリーで書いたように履修漏れで問題となっている歴史だっておもしろい。英語だってやり方次第ではとってもおもしろいし、古文漢文現代国語だっておもしろいんだけれどな、本当はということでした。
http://d.hatena.ne.jp/atutake/20061106



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