地域No.1からの全国展開戦略


2010年までに50店体制へ


フィットネスクラブ「コ・ス・パ」が全国展開に乗り出す。同クラブは大阪ガス子会社が展開していることもあって、これまでは関西地区のみで出店してきた。ちなみに業界No.1といえばコナミスポーツガリバー的存在、以下セントラル、ルネサンスティップネスと続き、「コ・ス・パ」のオージースポーツは7番手か8番手あたりといったところだ。


ではあるのだが、関西地域のみに限定すれば「コ・ス・パ」もなかなかである。関西圏のみで25店舗の規模は、おそらくはコナミに次いでNo.2ではあるだろう(最近、急増している30分フィットネスをのぞく)。その「コ・ス・パ」がとってきたのは、地域No.1戦略だったはずだ。


すなわちエリア内でのドミナント展開をすることによって地域密着のネットワークを形成、ブランド認知度を高める。たぶん2〜3年前だったと思うけれど、ターミナル駅でのちょっと派手めな広告などをやっていたのも、この路線上の展開だろう。これは戦略としてはありだと思う。今さら全国規模でコナミスポーツと戦うのは無謀だし、かといってルネサンスティップネスにもブランド認知度では圧倒的な差をつけられている。


とはいえ関西限定ならば、やはり大阪ガスが親会社というのは一応アピールポイントとして使える。何となく「安心」とか「信頼できる」といったイメージもある。しかも関西ローカルで展開している限り、スタッフのやり繰りも融通が利く。さらには広告代理店との付き合いもやりやすい。特にフィットネスクラブの会員募集はチラシに頼ることになるから(しかも各店ごとの地域特性に応じて対応する必要があるから)、そのサポート体制を組む上でも、関西にエリアを限定することはメリットがある。


などなど関西限定No.1をめざす戦略には数々の合理性があった。ところが今後は一挙に全国展開を目指すという。

消費者の健康志向が強まっており、事業規模拡大の好機と判断した。現在、関西圏のみで二十五店のフィットネスクラブを直営しているが、今後、首都圏や中部などにも進出し、二〇一〇年までに直営五十店の展開を目指す
日経MJ新聞11月12日)


これはかなりチャレンジングな戦略ではないだろうか。関西ローカルでの知名度こそまだあるとはいえ、全国規模となるとブランド認知度はほぼゼロに等しい(以前、日経MJ紙が出していた全国ブランド認知度調査レポートを見たことがある。そのフィットネス部門でコ・ス・パの全国的認知度はほぼ無いに等しかったと記憶する)。


コナミは圧倒的な数で、ルネサンスティップネスはタレントを使った広告展開で、それなりのブランドイメージを固めているのに対して「コ・ス・パ」は何もないところからの勝負になる。


しかも「Curves」に代表される30分フィットネスが急増している。これによってフィットネス全体に対する認知度は高まる可能性があるものの、従来型フィットネスクラブの競争環境はおそらく厳しくなる一方だ。


だからこその全国展開といった見方も確かにある。が、それなら首都圏、中部、九州とまったくの分散型出店戦略を取るのではなく、まずは関西の隣、たとえば中部もしくは中国地方に集中出店するのがセオリーだ。これならば、広告代理店との付き合い方もずいぶんとやりやすくなる。


などといった原理原則はもちろん承知の上(だって確かオージースポーツには大広だかADKだかがついていたんじゃなかったか)、「コ・ス・パ」ぐらいの組織であれば、それでも全国て分散展開することに何か戦略的な優位性を見出しているはずだ。その競争戦略がどんなものであるのか。もしコ・ス・パが成功すれば、その展開戦術からは必ず新たなノウハウを学べることになるだろう。


その意味で「コ・ス・パ」の全国展開は注目である。


にしても「Curves」30分フィットネスの展開を期に、フィットネス業界は大きく動きだしている。「ワウディー」のようなビジネスモデルも生まれているし(→ http://d.hatena.ne.jp/atutake/20061101/1162338086)、いろんな新しいマーケティング展開もなされていて、なかなかおもしろい。間違いなくいま最もホットな業界の一つ、その意味でも見物だ。




昨日のI/O

In:
Out:

昨日の稽古:

・懸垂
・レッシュ式腹筋