フィットネスは中国へ


市場規模4300億円(2010年予想)


中国のフィットネスクラブマーケットが急成長しているという。2010年には、日本の市場規模に並ぶ勢いらしい(日経産業新聞2008年7月30日付1面)。マーケットを引っ張っているのは「月光族」と呼ばれる若い人たちだ。


月光族とは

貯金をせずに、ワンランク上の華やかな生活を求め、月の給料をすべて使い果たす若者のことを中国ではこう呼んでいる。中国の伝統的なライフスタイルとは無縁な世代だ(前掲紙)。


すでに高級フィットネスクラブの数は2000を超えるという。何しろ国がでかく、人口も多いお国ゆえに人気が出れば日本を追い越すのなどあっという間というわけだ。日本と同じくというか、むしろ中国の方が激しい格差社会となりつつある。その中国では、日本円換算で資産1000万円以上の人を富裕層というらしい。


では、中国の富裕層は一体、どれぐらいの数になるか?


実に8000万人から1億人ぐらいになる。ほとんど日本の人口と変わらないぐらいの数の富裕層が彼の国にはいる。そこには当然、ビジネスチャンスがある。フィットネスクラブなど、その典型的な例だろう。というようなことは、実は数年前からわかっていたことであり、その頃仕事で付き合いのあったフィットネスチェーンでも一時、中国進出が検討された。


結果的には進出しなかったわけだが、その理由は当時大きく二つあった。まず一つには、日本のフィットネスユーザーとの属性の違いがある。日本では若い世代と団塊前後のシニア層が二大ボリュームゾーンとなっている。しかし、中国の年輩の方たちはたいてい、公園で太極拳やダンスなどをして体を動かす習慣を持っており、おそらくフィットネスクラブには来ないと考えられた。すなわち、その時点ではいわゆる『月光族』なる世代の登場を読み切れなかったわけだ。


もう一つが、わずか5年前にはまだフィットネスクラブそのものが中国には少なかったことがリスクと考えられた。確かに当時すでに相当数の富裕層が生まれつつあったが、そうした人たちの間ではフィットネスクラブに通うことが一般的な習慣とまでは認知されていなかったのだ。だからその時点で参入したとしても、採算が取れるだけの顧客を獲得できるかどうかが不明。そこで時期尚早という判断が下された。


それがわずか5年で全土に2000以上の施設ができているという。いったん火が点くと、恐ろしいぐらいの勢いで燃え盛るのが今の中国マーケットの特徴なのだろう。


彼の地でフィットネスクラブブームが起こっていることを聞きつけて、あのカーブス(コンビニフィットネス)も近く中国に参入する計画があるらしい。


しかし、カーブスはまだ早いのではないだろうか。おそらく今の中国でフィットネスクラブといえば、一種のステイタスシンボル的な位置付けにあるはずだ。ということは、クラブに求めるのは、ステイタスを感じさせてくれるおもてなしのはずである。カーブスのように実利だけを満足させてくれるクラブに対するニーズは、まだないと思う。


それよりも日本との違いで注目すべきは子どもだろう。

経済発展に伴う栄養過多、一人っ子政策による親の溺愛などを背景に肥満児が急増しているためだ。遼寧省瀋陽市の大型フィットネスクラブでは夏や冬の長期休暇を利用した十歳代の減量合宿を実施している(前掲紙)。


子どもにカネをかける風潮が中国には強い。だから、太った子どもマーケットは確実にフィットネスクラブのターゲットとなるだろう。そして、日本流のきめ細やかなサービス、接客などを徹底的な売りとしたフィットネスクラブを展開すれば、きっと中国マーケットでは勝てるはずだ。


フィットネスフロンティアは、中国にある。とりあえず日本勢で進出を検討しているのはセントラルらしいが、もっとどんどん出て行けば良いのに。




昨日のI/O

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『7つの習慣/スティーブン・R・コヴィー』
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昨日の稽古:

・レッシュ式腹筋、腕立て伏せ