建替えサービサーにチャンスは?


総戸数466万戸、居住人口約1200万人


2004年末のデータによれば、日本では10人に1人がマンション住
まいとなる(ウェッジ1月号)。


そして、このマンションに仕掛けられた時限爆弾破裂の時が刻一刻と迫
っている。時限爆弾といっても、話題の耐震強度偽装問題ではない。老
朽化問題だ。築30年以上のマンションが04年末で44万戸、これが
5年後の2010年には100万戸に達するという。


日本のマンションの耐用年数がどれぐらいなのか。正確なところはわか
らない。一昔前は60年などといわれていたが、その数字の根拠は税務
上の(つまり減価償却基幹算出のための)耐用年数にしか過ぎない。こ
の数字が住宅雑誌などで一人歩きしていただけで、建物自体の耐用年数
とは何の関係もない。だから、この60年という数字は、いつの間にか
47年と大幅に短くなっている。


おかしいと思いませんか。時間が経ってから、つまり建てられた時期が
後になるほど、要するに建築技術がその間に進歩しているにもかかわら
ず(くどいな)、耐用期間が短くなるなんて。


躯体自身は、コンクリートに水増しなどがなかったとして50年ぐらい
だという。しかし15年ぐらい前に知り合いの土建屋さんに聞いた話で
は、手抜き工事で最もわかりにくく、かつ簡単なのがコンクリート水増
しだという。仮に水増しがあったとしたら、50年はもたないだろう。
しかも、そのまえに給水管など水回り関係がサビでボロボロになるケー
スが多い。給水設備に関しては18〜24年が標準的な修繕周期だとい
う。


ということは築30年物件で、それまでに大規模な修繕をやっていない
ところは、そろそろ耐用年数の限界に来る可能性もあるということだ。


そこで大規模修繕をやるのか、建替えをやるのか。いずれにしてもそこ
で大きな障害となってくるのが、住民たちの意識をまとめることだ。


マンション建替え円滑法が改定されて、賛成住民の数が一定数を上回れ
ば、全住民一致でなくとも建替え決議ができるようになった。とはいえ、
住民の誰かが音頭を取って建替えへと話をまとめていくのは至難の業だ
ろう。また建替えをしたくとも、建替え資金の調達が困難な人がいたり、
仮住戸の確保が難しい人がいたりすると、話は前へ進まない。


ここにビジネスチャンスがないだろうか。


仮称・マンション建替えサービサー。事業内容は、下記の通り。
・マンションの現状診断
・ライフスタイルの変化に応じた建替え提案
・住民の意見調整
・住民に対するファイナンス
・仮住戸手配などのサービス


現状診断や建替え提案については、自社で手がける必要はない。アライ
アンスを組む相手はいくらでもいるだろう。ポイントは、住民の意見調
整とファイナンスになる。


まず意見調整については、直接的に利害関係が交差する住民ではなく、
善意の第三者的な立場から関わることで、調整をしやすくなると思う。
しかも住民代表(基本的には調整のプロではない人)が片手間にやるの
ではなくて、プロが業務として取り組むのだ。簡単には調整できない案
件でもまとまる率は高くなるのではないだろうか。


そして最大の問題はファイナンスだが、ここはリバースモーゲージを取
り入れることで何とかならないか。少しでもリスクを回避するために行
政から支援を引き出すことも可能だろう。


オフィスビルに関しては、リノベーション事業が盛んになってきている
が、本当にニーズがあって、でもどうしたらいいかわからなくて途方に
暮れている人が多いのが、老朽マンション問題だ。ここにビジネスチャ
ンスがあると思う。


と考えたのだけれど、もしかして、こんなサービス、私が聞いたことが
ないだけでもうどこかにあるのかな。




昨日のI/O

In:
『ひとつ上のアイディア/真木準』
『ウェッジ』1月号
M社社長インタビュー
X社副社長インタビュー
Out:
S社社長インタビュー記事


昨日の稽古: