ウイスキーのTPOとは


市場規模10万キロリットル


ピークだった1983年とくらべて、わずかに4分の1にまで縮んでしまったのがウイスキー市場である(日経新聞2月16日)。そういえば、確かにウイスキーを飲むことなどめったにない。この前飲んだのがいつかと考えてみれば、たぶん3ヶ月ぐらい前に買ったワイルド・ターキーだ。そして、その前となると、いつだか全然思い出せない。


ウイスキー最盛期とされる83年頃には、よく飲んだ。あの頃は「金曜日は、キンキン・ホワイト」が合言葉。当時は自動販売機でサントリーホワイトを売っていたのだ。これがビールなどとおなじ販売機で売っているから、ロック用の氷がいらないぐらいキンキンに冷えている。それを野郎ばっかり4人ぐらいで2本ほど飲む。当然、ベロンベロンになるわけで、友だちの下宿で暴れたりしてそいつが下宿を追い出されるなんてこともあった。


が、いまどきの学生はそんな飲み方は決してしないのだろう。これがウイスキー低迷の一つの原因だと思う。


もう一つ、ウイスキーで思い出すのは正月である。元旦の夜、親戚が集まった席で父親が「今日はジョニ黒があるんや」と切り出すと、みんなが拍手パチパチもんである。もはや死語に近いのだろうが、40年ほど前は舶来のジョニーウォーカーなるスコッチウイスキーが高嶺の花だったわけだ。


だから、ウイスキーは、特に洋もの(これまた死語ですな)=上等イメージがあって、そこから一応高級な酒、それがだんだんと親しみやすい価格になって、とりあえず飲む時はウイスキーだぜ、みたいなノリでしばらくきたのだろう。コピーライターにとっても、たとえばサントリーの広告をやらせてもらえるのが、一つのステイタスになっていたりもした。


就職したてで安月給だった頃には、給料日前になると晩飯をカップヌードルの大ですませ、満たされない腹をトリスがぶ飲み&タバコすいまくりでごまかしたりしたこともあった。これが85年ぐらいだから、今から20年ほど前の話。


そしてチューハイブームが起こり、酒もライト感覚が好まれるようになる。当然、ハードリカーなウイスキーはどんどん敬遠されるようになる。健康志向が広まったこともあって「あんな、強い酒をがばがば飲んでいたら、体ぼろぼろになるわよ」的な見方が定着した。そしてウイスキー市場は絵に描いたようなみごとな右肩下がりとなっていく。


まさにウイスキー暗黒の時代に入ったというわけだ。


これがいま、わずかではあるけれども盛り返しの兆しを見せているという。とはいえウイスキー全般的にではなく、ごく一部のプレミアムウイスキーに限ってのことらしい。いわゆるシングルモルトを中心として一本5000円を超えるような商品の売れ行きが好調だそうだ。誰が飲んでいるんだろう。


日経の記事には30代男性がけん引しているとあったけれど、本当だろうか。たとえば、これまでウイスキーといえばせいぜい居酒屋かスナックで水割りぐらいしか飲んだことのない人が、いきなりシングルモルトを飲むとどう思うか。もし、スコットランド風にきちんとした水割りで飲めば、案外美味いと思う可能性はある。が、通ぶって「ダブル、オンザロック(なんて、ほんとうはやらないんだけれど)」とかで飲んだりして、はたして味がわかるものかどうか。


逆にバーボンあたりなら、ストレイト・ウィズ・ノーチェイサーでカポッと喉に放り込むような飲み方がいいのだけれど、これをチマチマと水割りにしてたんじゃ、ホントの味はわからなかったりするはずだ。


これが日本酒ならば日本食に合うようにできているので、うまい和食にあった酒を選べば、それほど間違いはないのだけれど、ウイスキーは本来、食事と一緒に楽しむ酒ではない。だからウイスキー復権には、ウイスキーを飲みたくなるようなTPOの提案が欠かせないと思う。


ということは、やっぱり『LEON』あたりの力を借りるのが、PR展開的にはもっとも手っ取り早いってことになりそうだ。「ちょい悪オヤジは、ノーチェイサーで決める」なんてね。出てこないかなあ、そんな特集。どんなTPOで攻めてくるのか、すげえ楽しみだ。



昨日のI/O

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山田法胤・薬師寺副住職対談メモ
エグゼ社・ガーデニング営業用DM



昨日の稽古:

 ・ジョギング
 ・腹筋、カール、インクラインベンチプレス
 ・砂袋