GoogleがYouTubeを買収しない理由は
買収金額16億ドル
ただしあくまでも噂レベルであり、その確度は40%。「GoogleがYouTubeを買収」といった噂が流れているようだ。
→ http://japan.cnet.com/column/somethingnew/story/0,2000067121,20265007,00.htm
YouTubeが注目される前からすでにGoogleは、Google Videoを展開している。が、ビジター数などではすでに圧倒的な差をYouTubeに付けられてしまった。著作権問題のリスクを抱えているにせよ、GoogleにとってはYouTubeはノドから手が出る程欲しい対象ではあるだろう。
なぜ差が付いてしまったのかは明らかである。すでにネット上に存在するものを検索ロボットが見つけ出してはランク付けしていくのがGoogleであり、ということは未だネット上に公開されていないビデオはGoogleの対象外である。
そこを変えたのがYouTubeだ。つまりYouTubeはネット上にはまだ存在しないが、実は世界中にすでに存在する厖大なビデオコンテンツを、ネット上に吸い上げるシステムなのである。もちろん吸い上げるだけではなく、取り込んだビデオについての優れた検索システムも提供している。
ところでこの噂、今のところあくまでも確度40%程度らしいので、噂の真偽についてどうこう言うのではなく、GoogleがYouTubeを買収するメリットがあるのかどうか、ここを考えてみたい。すると答は、実は一つではないのだろうか。というか最初から決まっているというべきかもしれない。
つまりGoogleがYouTubeを買収しない理由がないのだ。
「増殖する地球上の厖大な情報をすべて整理し尽くす」ことがGoogleの企業理念である(『ウェブ進化論』梅田望夫、ちくま新書、2006年、14ページ)。であるなら、YouTubeが抱えている情報も整理しなければならない。それが買収となるのか、何らかの提携となるのかはおくとして、GoogleにとってはYouTubeが抱えているコンテンツをそのまま見過ごしておくことはできないはずだ。
しかも以前から指摘しているように、YouTubeの正確な定義は『動画投稿サイト』ではなく『動画検索サイト』である(あくまでも個人的な意見に過ぎないけれど)。ユーザーにとってのYouTubeの価値を考えると、まずユーザーそのものが投稿者と検索者(=鑑賞者といってもいい)の二種類あることがわかる。投稿者にとっての価値は、自分が撮ったビデオを世界中に向かって配信できることであり、検索/鑑賞者にとっては世界中のビデオ作品の中から自分がみたいビデオをキーワード検索によって探し出し、好きな時に好きなように見ることができることにある。
コンテンツがテキストの形でネット上に公開されている場合は、Googleが勝手に検索できるけれども、ビデオはこれまでのところネット上に公開されていなかった。そこでまずYouTubeは自社のサーバーを通じて「みんな、自分が持ってるビデオを世界中に公開しようぜ」と呼びかけたわけだ。
もちろん自分のホームページ上でビデオを公開することも不可能じゃない。しかし、難易度は高い。高かった難易度を一気に思いっきり下げたのがYouTubeである。これはブログがネット上のテキストコンテンツを急激に増やしたのと同じ構図と考えられるだろう。だから著作権問題の解消という留保条件はつくにせよ、YouTube的なる流れを押しとどめることも、消してしまうことももはや不可能である。YouTubeはそれぐらいの奔流と考えるべきだ。
テキストの変わりにビデオをネットにアップするシステム、これがYouTubeの一つの側面である。さらにはアップされたビデオを検索するシステム、これもYouTubeの重要な側面である。であるなら、これをGoogleが取り込まない理由がない。逆にいえばGoogleがYouTubeをこのまま放置する、あるいは例えばYahoo!が買収に乗り出すことを見過ごしたりするオプションはあり得ない、と思うのだけれど、さて、この先どうなるのだろうか。
昨日のI/O
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林繁和氏・インタビューメモ
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