争うvs使う
4年後にはネット広告がテレビ広告を追い抜く
あくまでもイギリスでの、しかも予想の話ではあるけれども、ついにそうした状況が現実的なものとして視野に入ってくるようになった。
以下の表は,IAB調査による,昨年上期と今年上期における,英国の主要メディアのシェアである。
メディア 2005年上期 2006年上期
TV 23.3% 22.7%
新聞 11.7% 11.4%
インターネット 7.3% 10.5%
ラジオ 3.6% 3.4%
→ http://zen.seesaa.net/article/24976298.html
確かにインターネット広告が年間3ポイントペースで伸びていき、TVが年間0.6ポイントペースで減っていけば、4年後には逆転が起こるだろう。
インターネット広告のガリバーがGoogleである。利益ベースでみればすでにGoogleは世界一の広告企業である。その売上高約7千億円に対して利益率は純利益が24%(1680億円)。これがどれだけすごいかは、電通の売上高/利益と比べれば一目瞭然。電通は2005年3月期の売上1.9兆円に対して純利益が275億円(利益率約1.4%)。
→ http://www.tez.com/blog/archives/000676.html
もちろんすごいのは数字(=結果)ではなく、そうした結果をたたき出しているGoogleのシステムである。こんな企業は、これまでの世の中にはなかったのだから。
そのGoogleがYouTubeを買収した。すなわちさらに膨張した。これで少なくともアメリカではビデオサイトでのシェアがYouTubeとGoogle videoを合わせて60%に達する勢いとなった。
この買収を巡ってはYouTubeが抱える訴訟リスクをGoogleが持つことにより、すなわち提訴サイドからすれば賠償金を取れる目処が立った、などという論評もある。これはネット広告&動画投稿/検索サイトとあくまでも争う視点だ。今のところ日本のテレビ局の大半は、少なくともYouTubeとは徹底的に争う態度を取っている。
一方ではすでにYouTubeとの提携を実現しているメディアもある。たとえば三大ネットワークの一つCBS(でしたよね、確か)がそうだ。つい最近ではコロムビアミュージックエンタテイメントがYouTubeを活用したプロモーションを開始した、というニュースもあった(日経産業新聞10月11日)。YouTubeに自社アーティストの出演する動画を投稿し、自社サイトの告知をするらしい。
このプロモーションがYouTubeに対して何らかのコストを支払っているのかどうかは不明である。しかし、極端な話をいえば、今のYouTubeなら企業が自社のCMコンテンツを『勝手に投稿する』ことも可能だ。というか、この方向性で話しを進めていくなら、企業が自社製品と何らかの撮影機材を一般ユーザーに貸し出して「この製品を使っている情景をビデオに録って、どんどん投稿してください」なんてプロモーションも成立する。
これがネット広告&動画投稿/検索サイトを使う視点である。さらにいうなら、最近いわれているWeb2.0的発想であり、これまた最近のバズワードであるCGMの流れに乗った考え方でもある。
とりあえず確かなことは、テキスト情報については世界で圧倒的支配的なポジションに立っているGoogleが、動画検索についても同様なポジションを得る可能性が極めて高くなったということ。これはほぼ確定である。
こうした状況に対しては、いろんな立場からの判断が成立する。たとえばGoogleがそんなに圧倒的に強くなるのはイカン、というのも一つの判断だ。あるいはGoogleがそこまで独占的になるなら、逆にきっとニッチマーケットができるはずだと考える手もある。経営合理的には、この流れにいち早く乗っかって、いかに低コストで成果を上げるかを考えるべきなのかもしれない。
あるいはテキスト、動画とくればあと残っている情報コンテンツは、静止画像と音声である。静止画像についてはすでにさまざまなサービスがスタートしているので、関心はGoogleが次にどのサービスを買収するだろうかということになる。一方音声については、iPod&iTunesのAppleがなぜGoogleとの関係を強化しているのかが気になるところだ。
ポッドキャスティングの検索は、どこがポータルになるのだろうか?
ついでにいえば、Googleはどこまででかくなるのだろうか?
昨日のI/O
In:
Out: