F1からF3へのシフト
F1からF3へ。といっても車の話じゃない。
新たな消費リーダーとしてF3が存在感を増してきている。
F1:20〜34歳
F2:35〜49歳
F3:50歳以上
いずれも女性である。ちなみに同年齢の男性はそれぞれM1、M2、M3と呼ばれる。
そして今や日本では50代以上人口が実に5400万人もいる。日本人の二人に一人が50代以上ということだ。巨大かつ有望マーケットである。実際に
二人以上の世帯の消費支出のうち世帯主が六十歳以上の高齢者世帯が占めるウェートは1990年には19.3%だったが、2007年1−6月には37.6%と二倍近くに増えている
(日本経済新聞2007年9月3日・朝刊)
では高齢者(などと十把一絡げ的な呼び方を彼らは最も嫌う)ではなく、F3の方々は何にお金を使っていらっしゃるのか。消耗品は別として彼らは生活に必要なモノは、基本的にほとんど持っている。そりゃそうでしょう、50年以上生きてこられたわけだから。もちろん使っているうちにテレビが壊れたとか、冷蔵庫が調子悪いなんてことはあるだろう。が、まだテレビもないのでこれから買おう、などという方は極めてレアケースである。
衣食住といった切り口で考えれば、住関連は相当に充実していると考えた方がいい。ではファッションはどうか。もちろんニーズはある。特に団塊の世代以降の方たちは、自分の歳をだいたい7掛けぐらいで考えておられる。つまりいま60歳の方なら気分は40歳ぐらいだ。まだまだファッションにも関心があるし、実際に気を遣われもする。が、F1ほどには支出全体にファッション関連が占める割合は高くはないだろう。
では食か。ここはあるかもしれない。なるほどホテルのちょっとリッチなランチバイキングなどは年輩の方も多い。しかし、彼らがそうしたランチに出向かれる理由は時間があるからではないのだろうか。プラス、リーズナブルなお得感があるからだろう。もちろん毎日のように食べ歩いているわけじゃないと思う(想像ですけれど)。だって彼らにとっては食べることそのものよりも、気の合う仲間とお昼ご飯をちょっと贅沢気分で一緒することに意味があるはずだから。
ポイントはここだと思う。
よく言われる話だけれど「モノよりコト」なのだ。自動車のコマーシャルでも使われたメッセージだから覚えている方もいらっしゃるのではないか。あのコマーシャルは小さな子どもがいる家族に向けたメッセージだったが、本当は「モノよりコト」に価値を感じるのはおそらくF3層の方だ。
そこで増えているのがハイブリッド店舗である。たとえば遊具を設置した遊び場スペースの隣にカフェレストランを設置する。孫の子守りをしながらおばあちゃん同士で食事を楽しんだりお茶をしたり。あるいは介護・リハビリ施設に加えて老人ホームはもちろん保育園、レストランからコンビニまでを併設する。これだと老人ホーム入居者が家族を呼び寄せて一緒に楽しめ、地域住民との交流も促すことができる。
いずれもコアは、その場所での時間消費だ。そして時間消費という切り口で考えれば、そのための施設は何でもありである。というかいろんな時間消費の仕方をできればできるほど、その場所の利用価値は高くなる。
といってアメリカ型のスーパーセンターではないと思う。相手は気持ちは若くても肉体的にはやはりそれなりに衰えてきている方がメインターゲットなのだ。それなりの、とはいえさりげない気遣いがなされた施設、プラス人的サービスがあればよい。
差別化ポイントを考えるとすれば、設備の多様性ではなく、居心地の良い雰囲気だろう。要するに、その場所で心地よく過ごせるかどうかがカギなのだ。極端な話、物売りの店など一つもなくてもいい。そしてもう一つカギがあるとすれば、そこは一人客を想定してはダメだということだろう。最低でも二人、基本的には子どもや孫連れも含めて5人ぐらいのグループがメンバーそれぞれに楽しみ方を見つけられる設備。そんなハイブリッド店舗がこれから増えていくのではないだろうか。
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