たる・たった意識の問題点


一ヶ月分の給与と引き換えに希望対象を募る


船場吉兆である。あまりここばかりを取り上げるのもどうかとは思うが、わかりやすいといえば、これほどわかりやすい例もないので仕方がない。船場吉兆の問題も、もしかしたら格差社会の影の部分が露出したのではないかと思う次第だ。


略して「たる・たった意識」が引き起こした問題だと。「たる・たった」とはいわゆる格差の上層におられる方々の考え方に通底する意識である。すなわち吉兆サイドからすれば「我々(つまり格差上層部のことですね)のような人間が、底辺にうごめく人たちに対して<〜したる>のだから文句を言うな」とか、「我々が<〜したった>のに何をゴタゴタ言っているのだ」といった態度に垣間見える意識のことである。


そうした意識は具体的には次のような行動となって表に出てくる。たとえば船場吉兆が自身の名を賭けて販売したる商品に何が文句があるのか。当店のような超一流店で働かせてやっているのに、パート従業員風情がなぜオーナー一族の命令に逆らうのか。うちで働かせてやった上に、一ヶ月分も余分な給料を出してやるのになぜ希望退職に応じないのか・・・。


実際に船場吉兆のオーナー一族がこうした意識を持っていたかのどうか、確かなところは知らない。しかし、とりあえずメディアの報道から伝わっている情報から判断すると少なくとも何らかの「たる・たった」意識を持っていた可能性はあるといえるだろう。


格差社会問題といえばこれまで、下層すなわちその底辺に位置すると考えられる人々が問題の対象となっていたはずだ。しかし、格差社会の問題はいわゆる富裕層サイドにも根深いものがあるように思える。格差はピラミッド型の構図をイメージしやすいが、こと問題という視点でみれば上層部と下層部は案外、対称形となっているのかもしれない。


たとえるならセレブ系の方々は、下々のことを自分たちと対等な存在とは見なしていないことから、さまざまなモラルハザードを起こしている。方や下層部の方たちは虚無感、諦念などがないまぜになった気持ち故に、やはりモラルハザード状態に陥っている。いずれもモラルハザードを起こしている点では同じである。


だとすれば影響力が大きいのは、当然上層階級におられる方たちのモラルハザードだろう。特に行政サイドのトップに君臨している人たち、あるいは大企業の経営トップクラスの方々にモラルハザードが起こりつつあるとすれば、これは日本という国が根底からその存立基盤を揺るがされるような大事だ。


かつて江戸時代、トップ層に君臨した侍たちには「武士は喰わねど高楊枝」という気概があった。欧米ではノブレス・オブリージュがある。歴史学者ジョン・アクトンが見抜いた通り「「権力は腐敗する、絶対的権力は絶対的に腐敗する」のである。だからこそ、腐敗を戒めるための心構えを古の支配層の人たちは持とうとしていた。


このような自戒の念を持っていても、それでも権力は腐敗し、世の中は変わってきたわけだ。今のセレブな方々がどのように自己を律しておられるのかが、とても気になるところである。


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