犬の保育園は儲かるか
８時間預かって4000円〜8000円
犬の保育園が大都市で人気を集めているという。
少子高齢化などを背景にペットを家族同様に扱う飼い主が増え、しつけに対するこだわりが高まっていることが背景にある。需要を見込んでペットショップなどが参入する例も増えている。（日経産業新聞2008年5月9日付20面）
ペットのしつけとは何か。我が家でも柴犬を飼うにあたって、しつけについて一通りの学習をした。が実際には、うちの犬をしつけることはできなかった。なぜなら、犬のしつけはとても面倒だからだ。その結果、うちの柴犬君はかなり自由奔放な性格に育ってしまった。何とか素直にいうことを聞くのは、家族ではほぼ私だけ。できる芸は「おすわり」と「待て」だけである。
おそらく犬のしつけは、そうそう簡単なものではないのだと思う。飼い主サイドの個人差はもちろんあるし、飼い犬サイドの個人差（犬の種類や性別によってかなりな違いがあるものと思われる）もある。しかも一般的に犬をかわいがることと、しつけることはカテゴリーの異なる行為でもある。つまりかわいいからという理由で犬を飼う人が、犬のしつけに対する適性をも兼ね備えている確率は低いだろう。
かわいがるだけでは、犬をきちんとしつけることなどできっこない。言うことを理解させ、行動にまで反映させるためにはかなりな根気が必要だし、ときにはかわいい愛犬に対して厳しく出ることも求められる。つまり犬を飼うことはできるけれど、しつけることはできない人が世の中にはたくさんいることになる。
ということは、ここにはビジネスチャンスがあるわけだ。
しかもペットマーケットは昨年度で市場規模１兆１千億円あり、過去５年間での成長率が14％にも達する成長市場である（→ http://d.hatena.ne.jp/atutake/20070702/1183364633）。去年、自分が書いたエントリーを読み直してみると、最近増えているペットユーザーは高齢者が多いとある。であるなら、さらに犬のしつけに対するニーズは高いと推定できる。
また都心部となれば一戸建てではなくマンションに住む人の方が多いはずだ。最近のマンションはペット飼育可となっているが、そうした環境下で暮らす犬に対しては、より厳しいしつけが求められることも容易に想像がつく。
すでに都心部のマンションには、高齢者の郊外からの回帰がトレンドとして定着しつつある。若い頃に郊外に一戸建てを建ててローンを払い終えた高齢者が、生活するのに便利な都心部のマンションに戻ってきているわけだ。そこで暮らしにうるおいを与えてくれるペットとして、犬を飼うことは当然考えられる。
高齢者で都心回帰した人たちは、おそらく自由に使えるお金もそこそこに持っているに違いない。と、こうしたマーケット分析があって、都市部での犬の保育園ビジネスへの参入が増えているのだろう。
では、このワンちゃん保育園は儲かるのだろうか。
今ならとりあえず儲かると思う。市場自体はまだ導入期であり、これから成長期に入っていくはずだ。とはいえ、市場規模がそれほど大きいというわけでもないだろう。美味しいのは、犬のためなら少々お金を使っても構わないという層を顧客として掴むことである。そうした層がそれほど多いとは考えられない。また関心も高いだけに意外に早く情報を掴み、自らすでにサービスを開始している保育園に赴く可能性も高い。
だから儲けようと思うなら、できるだけ早く参入することが必要だろう。その上で何らかの差別的な価値を付加できればより多く儲けることができるだろう。お金持ちでしかもペットのしつけに関心を持つ層は、特定地域内では意外に横の連携がある。すなわち口コミ効果を期待できる。口コミになるような差別的なサービスを提供できれば、商圏（クルマで移動することもあるだろうが、せいぜい５キロぐらいだろう）内の有望顧客を引きつけることは可能だろう。
では、お金持ちペットユーザーにアピーリングな差別的な価値とはなんだろうか。おそらくは多くのペットが室内で飼われていることを考えれば、これは容易に思いつくはずだ。日経産業新聞の記事に紹介されていたいくつかの「犬の保育園」では、まだそうしたサービスを打ち出しているところはないようなので、もしかしたらかなりチャンスはあるのかもしれない。
昨日のI/O
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「STPがマーケティングの基本」
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□InsightNow最新エントリー
「ノキアvsiPhone、日本での戦いは？」
→ http://www.insightnow.jp/article/1283
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