究極のインタビュー術
昨日、聞いた話
いま、ちょっと規模の大きな仕事に携わっている。何人かのライターが一緒に、全国規模で動いているような仕事である。基本的には取材をして、原稿を書くという通常のパターンだ。
同業としては、他のライターさんがどんなやり方で取材しているのかが、とても気になるところ。そこで間に入っている人に、聞いてみてびっくりした。
何と、ライターの中には取材時、ほとんど質問しない人がいるという。ほんまかいな。こちらから質問せずして、相手が滔々と話してくれるのであろうか。もとよりライターが単独で取材に行くような仕事ではない。間に人を介しているので、その人が取材の主旨や主な質問項目を最初に説明してくれる。
それ故にもしかしたら取材相手が気を利かせてくれて、ライターがわざわざ質問せずとも答えてくれる可能性はある。基本的に取材相手は話すのが商売、しゃべりのプロとも言える人たちだ。黙っている相手に話をすることにも慣れているだろう。
とはいえ。たまげたのも事実である。なぜなら、そのライターのやり方はおそらく、私とは真逆であるから。こちらはまず何より心配症である。しかも几帳面な(自分で言うのもなんだが)A型である。よって人に話を聞きに行く前には、準備万端整えておかないと不安でしょうがない。
相手のことをできるだけ調べて(ネットの普及は本当に、この下調べを楽にしてくれた)、質問項目を書き出し、その上でインタビューのリハーサルと言うかシミュレーションというか、シナリオを頭の中に入れておく。それでも、うまくいかないこともある。
相手によっては「また、それを聴くの?」とか「それぐらい、ちょっと調べれば、わかるでしょう」あるいは「そんなことも知らずに、話を聞きにきたのかい」と思われてしまうことだって未だにある。それじゃ、インタビュアーとして、取材後に記事を書くライターとして失格だと思う。
のだが、そうじゃないやり方もあるということなんだろう。なぜなら、その質問をしないライターさんも、上がりの記事はきちんとしたものになっているらしいから。
う〜む、これは発見である。自分のやり方が正しい(とまでは言わないが、まあ平均的なんだろうぐらいには思っていた)と簡単には思わない方がよいということだ。それこそ、つい最近取材した相手が語ってくれたエピソードにあったように、何ごとにも世の中にはとんでもなく賢い奴がいて、そういう人たちは凡人にまったく考えもつかないエレガントなやり方をするらしい。
この人が語ってくれたのは数学の解き方についてだった。この人自身も数学については相当な力の持ち主なのだが、彼が力づくでごりごりと時間をかけて解く問題は「えっ、そんなやり方、あったん!」とビックリさせるようなやり方で片付けてしまう人がいたそうだ。後に、そのエレガント数学マンは、数学の世界では世界的な賞を取ったという。
天才には、天才の流儀があるということなのだろう。が、残念ながら天才ではない自分としては、これまでに培ってきたやり方をパワーアップするしかない。ないのだけれども、天才のやり方が一体どんなものなのかが、ものすごく気になる。そのやり方をあれこれ想像してみることも、自分の幅を広げるトレーニングになるんじゃなかろうか。
それにしても、質問しないインタビューなんて…。ちょっと、できそうにないな。今日もこれから、東京でインタビューなんだけど。
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at17:30
今日のインタビューは無事終了。
いつも通りに下調べに約3時間かけて
インタビューのシナリオも考えた。
結果的には考えていた通りには進まなかったけれど
インプロビゼーション的なノリを少し楽しめたような。
でも、質問しないインタビューは
やっぱりできそうにないな。
昨日のI/O
In:
『街場の教育論』内田樹
Out:
某社・セールスマニュアル
昨日の稽古:
拳立て・レッシュ式腹筋・懸垂