パンデミック関西


あっという間に200人


今日(5月19日)の報道では、奈良で一気に1000人以上の中高生と先生が発熱しているという。そのうちの100人強が新型インフルエンザの疑いが濃いそうだ。


神戸で高校生の感染者が見つかってから、まだ一週間も経ってない。もっとも大阪の私立高校では連休明けぐらいから百人単位でのインフルエンザによる欠席者が出ていたとのこと。この学校で行なわれた剣道の試合だか研究だかがどうやら引き金になったらしい。


私の住む京都では、これを書いている時点までまだ感染者は見つかっていない(らしい)。が、それもあやしい。もしかしたら、明日ぐらいにはやはり数百人単位での感染者が報告される可能性は否定できない。こういう状態をこそ『パンデミック』と呼ぶのではあるまいか。


とりあえず震源地・関西の様子を知る限りに記しておくのは、何かの役に立つかもしれない。


まずマスクが消えた。日曜日の夕方「明日ぐらいには、京都でも患者が見つかるかもしれんなあ。こら、マスクぐらい買うといたほうがええで」などと、のんきなことを言いながら近くのドラッグストアに行って見て、あらびっくりである。


普段ならマスクを打っているはずのコーナーが、妙に閑散としている。店員さんに尋ねてみると「とっくに売り切れました」とのこと。おっとどっこいである。とはいえ、まあ何軒かまわればあるかも知れないと思ったが、それは浅はかと言うものであった。みなさん、動き出しが早いのである。


じゃコンビニはどうだろうと探しに行ってあんぐり。ここもある一画だけ、本来なら商品がかかっていたであろうフックが空っぽである。マスクコーナーだ。わずかに残っていたマスク(抗菌タイプとか不織布とかのトレンディなタイプではなく、普通のガーゼタイプである)をそれでもないよりはマシかと買い求める。


月曜日、息子は学校にいった。学校からは、何も連絡はない。大阪と兵庫は一斉休校となったようだが、京都はまだ感染報告がない。さすがに一人も感染者が出ていないのに、休校とはならないようだ。が、後から聞いた話では、感染地区から通ってきている生徒に対しては「おまえ、なんで来んねん」がギャグっぽいあいさつとなったらしい。これぐらいなら、まだかわいい話である。


が、九州の方では関西から帰ってきた修学旅行生が、自宅待機になったと聴く。あるいは大阪駅まで出かけて行き、あとは新幹線に乗るばかりだった修学旅行生たちが「旅行は中止」となった。これはギャグでは済まされない。


たまたま月曜日は昼前から大阪に入り、四国へと出張に出る予定になっていた。大阪へ入るルートは京阪と阪急、二つの選択肢がある。家から近いのは阪急でいつもなら何も迷わず阪急・烏丸駅に向かうのだが、歩きながら「でもなあ、阪急は茨木停まるしな」とふと思った。茨木は、感染エリアである。


その茨木で特急が停まり、乗り込んできた人たちはほぼ全員がマスクを着けていた。京都・茨木間でのマスク着用率が直感ベースで40%、これが茨木を経過することで80%ぐらいに上がった。その後大阪市内に入りクリスタ長堀という地下街に行ってみると、やはり人通りが少ない。ちょうどお昼時で、いつもならもっと人出があるはずだが明らかに人が少ない。


ただし大阪しないに入ってみると、またマスク着用率は50%弱ぐらいまで落ちた。地上の商店街などは、それほど普段と変わった様子もなかった。


が、今後、たとえば等比級数的に感染者が増え、あるいは感染エリアが広がり、感染者が高校生メインからさまざまな年代の人に広がるとどうなるのだろうか。


確かに毒性は弱いみたいだ。とはいえ感染力は強力と思われる。そして感染すれば、それなりに熱が出て苦しいことには変わりはない。


ということは、そんなものをうつされるのは、ごめんだと考える人の方が圧倒的に多いだろう。そのとき何が起こるか。感染者は家でじっとしていろという流れだろう。さらに深読みすれば、それでも,仕事の都合などでどうしてもいかなければならない人は、何とかしてでも平静を装って人ごみに紛れるのではないか。


そのときに何が起こるのか。弱毒性の今回のインフルエンザ騒動から学ぶべきこと、対策を考えるべきことは山ほどあるのではないだろうか。


とりあえず一つはっきりしたのは、お上が決定的に頼りないことと、もし、今回の騒動で初期段階から死者が出ていたら、おそらく関西はパニックになっていたに違いない。


本当にいざとなったときには、病院も当てにはならない危険性があることも露呈してしまった。これだけは、頼りにならないお上とはいえ、本命の鳥インフルエンザが発生する前に何とかしてほしいと強く思う。



昨日のI/O

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大阪大学・渥美准教授インタビュー原稿


昨日の稽古: