もしかしてGoogleを倒すのは口コミ
- 作者: アダム・ペネンバーグ,中山宥
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/09/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 5人 クリック: 38回
- この商品を含むブログ (12件) を見る
※
このエントリーは、R+さんから送っていただいた献本『バイラルループ』についてのレビューです。
インフォメーションか
それとも
コミュニケーションか
そもそもインターネットの役割には、「情報アクセス」と「つながり」の二つがある(同書、5P)
「情報アクセス」すなわちインフォメーションである。
一方「つながり」すなわちコミュニケーションである。
さらに
インフォメーション=Googleであり
コミュニケーション=Facebookである(これはちょっと言い過ぎだけれど)
これがさらには
インフォメーションはやがて、そのほとんどがコミュニケーションを通じて得るようになるのではないか。『バイラルループ』を読んで、一番に思ったのはこれ。
つまりGoogleがどうがんばっても勝てない相手が現れるとすれば、それはいわゆるソーシャルメディアのどれかであり、今のところそれはFacebookが一番手なのではないか、ということ。
言うまでもなく人がGoogleで検索するのは、何らかの情報を得るためだ。リテラシーの高い人は、さまざま検索オプションを使いこなし、自分が求めている情報を的確にゲットする。だが、そんなの面倒だという人も世の中にはたくさんいる。そもそも検索オプションってなんだと、おっしゃる方もいるはずだ。どちらかといえば、誰か信頼できる人に「ああ、それは、こうこう、こういうことだよ」と教えてもらった方が、うんと楽ちんだし早いと感じる人も、もちろんいる。
どちらが多数派かといえば、圧倒的に後者だろう。
確かに、今は情報社会である。その気にさえなれば、ネットにはいくらでも有用な情報がある。日本語で読める情報だけでも半端ではなく、さらに英語を読めるとなれば、その情報量は何万倍にも増えるだろう(何万倍なのか、何千倍なのか、何百倍なのかは不明なので、ご存じの方がおられれば、ぜひ教えていただきたい)。
だが、いくら情報がたくさんあっても、自分で検索しなければならない。検索の結果得ることのできる情報のクォリティは、自分の検索技術次第である。検索技術に関して言えば、おそらく、レベルの高い人とそうではない人との差が、現時点でもものすごく大きく付いているはずだ。PCではなく、携帯しか使わない人にとっては、さらに検索は面倒で難しいものとなるだろう。
つまり現状は、情報量が膨大になったがために検索難易度が増し、情報格差がより激しくなっているともいえる。いくら情報があっても「そんなの検索して探すの面倒」とか「だって、ひと言キーワード入れて検索しても、結果が多すぎるし、トップに来るのは広告ばっかだし」みたいな人にとっては、膨大な情報こそがうざい。
だから「ねえねえ、ちょっと教えて」と気安く聞けて、でも「へえ、そうなんだ」と納得できる答を返してくれる相手の方が、よほど重宝する。こうした関係があれば、その信頼できる相手からの「あのさ、こういう良いのがあるんだけどさ」という逆の流れも容易に生まれるはずだ。すなわち口コミ(正確にはネットコミ、古くはモデムコミなどという言葉も昔あったと思うが)の方が、よほど頼りにされる時代が来ている。
その口コミはどこで起こるのか。ソーシャルメディアである。というネットのこれからの動き、情報に対する接し方、などを考える上で、最高の気づきを与えてくれた一冊が、この『バイラルループ』だった。
この本は資料としても一級品だと思う。バイラルループを起こすことによって成功したさまざまなサービス、Netscape、eBay、Paypal、Hotmail、Myspace、FacebookからNingまでの成功プロセスが、データと共にしっかりと書き込まれているのだから。
そして最後にもう一つ。こうした成功事例から得た気づき。
神はサーバーに宿る
モダニズム建築を代表する巨匠、ミース・ファン・デル・ローエはかつて『神は細部に宿る』語ったが、現代の神はサーバーに宿るのだ。
昨日のI/O
In:
NPO法人おふぃすパワーアップ・丸橋さまインタビュー
Out:
ノンフィクション原稿
昨日の稽古:
懸垂