子どもへのコーチング
男子三日逢わざれば刮目して見るべし、というが。
ことは男子だけに限らない。むしろ最近では、女子の方が当てはまる諺となっているかもしれない。この日曜日に子どもの新人戦があった。よく知っている女の子が出たのだが、彼女の上達ぶりが強烈に印象に残った。
もともと、とても華奢な子である。同じ小学校4年生クラスには仲間であり、ライバルでもあるような女の子がほかに3人いる。この子たちと比べれば、身長も体重でも1割から2割は差し引かないとならないぐらいの体格をしている。まともにぶつかっていったら、まず勝負にならない。
そこでおそらく指導されている方がアドバイスされたのだろう。彼女は足を使って戦うことを覚えた。いくら相手がごつくとも、ガチンコで組み合わなければ体格の差はハンディにはならない。フットワークを鍛え、相手の攻め巧みにかわし、回りながら、スキを見つけては蹴りを飛ばす。そんな戦い方をするようになった。
これだけでも大したものだと思う。小学校4年生にして、自分のスタイルをマスターし始めているのだから。ところが、いざ本番となると試合時間中ずっと相手と距離をとり続けることは難しい。どうしても接触、接近戦となる局面が出てくる。となると、やはり押されてしまうのが彼女の課題だった。
ところが、先日の試合では、その課題を見事にクリアしていたのだ。
これまでならぶつかり合うと「もうダメ〜」みたいなところがあった。それはたぶん気持ちの問題も大きかったはずだ。自分は細いから、軽いからまともに当たったら勝ち目はない、そんなふうに思い込んでいたんじゃないだろうか。
しかし、ぶつかった時こそしっかり気合いをいれて突きを出し、すぐに上段を蹴る。そんな作戦を立てていた。もちろん、その裏には指導者の適切なアドバイスがあったのだと思う。「君は動きながら上段を蹴るのがうまいやろ。だったら接近線になったときこそ、実はチャンスなんやで。相手と近づいたときには、まず一発、しっかり気持ちを入れて突いてごらん。それで少しでもいいから相手を突き放すんや。そこですかさず上段を蹴るんや」。
なんて、勝手な想像でしかないんだけれど、こんな言葉があったんじゃないだろうか。とてもうまいコーチングだと思う。一方的に「こうしろ」と押し付けるんじゃなくて、まず子どもの良いところを認めてあげて、その上で、その長所を活かすにはこうしたらどうって、自然な流れの中で導く。
そして、そのアドバイスが的確だったから、すぐに効果を自分で納得できた。自分がうまく、強くなっていることを実感できた。そのことが新しい自信につながる。
コーチングで大切なのはあくまでも少し後押ししてあげることで、引っ張っちゃダメが鉄則である。が、子どもが相手の場合は、ほんの少しストレッチしてあげることが新しい気づきにつながるのだ。もちろん気づきは子どもにとって楽しさ、おもしろさに直結している。
楽しくて、おもしろかったら、夢中になる。夢中になれば、伸びる。そんな好循環の中にいかに入れてあげるか。空手に限らず、勉強でも、ここがポイント。なんて具合に子どもに対するコーチングのやり方に気づく絶好の機会となった。
昨日の稽古:富雄中学校体育館
・コンディショニングトレーニング
・組手立ちでの基本
・移動稽古
・ミット稽古
早く・強くの回し蹴り
フォームをきれいにの逆突き
・オモチャのナイフを使った受けの稽古
・組手稽古