ロードサイド居酒屋の生き残り策は


前年対比軒並みダウン


居酒屋業界が大苦戦している。その理由は、飲酒取り締まりが厳しくなったこと。これに尽きる。公共交通機関が発達している都市部はともかく、郊外や地方都市、もっと田舎となってくると交通手段は事実上クルマしかない。


これまでは少々飲むぐらいなら、何とかなるだろうで済ませていた人の多くがおそらく飲酒取り締まりの強化に相当ビビっているはずだ。それで当然というか、これまでそうでなかったのが基本的にはおかしい。その意味では、今回の悲惨な事件をキッカケとしたある意味社会的な「脱・飲酒運転』の動きは、とてもまっとうなことだと思う。


自分自身を正直に振り返っても、やはりこれまで飲酒運転をしていた。が、今はピタッとやめた。で、何が起こったか。


夕食に出かける際の行動範囲がまったく変わってしまった。以前は車で5分もかからないところに、居酒屋はじめレストランなどが集まっている場所があって、そこに出かけることが多かった。これこそよくない意識ではあるけれども「車で5分もかからないし」というのが、自分への言い訳になっていたわけだ。でも、もう車に乗っていって飲むことはない。


するとどうなるか。車でなら5分以内でも、歩くとなると相当な距離となる。わざわざ歩いてって、メシ食って飲んで、ご機嫌さんでまた歩いて帰ってくるにはちょっときつい。勢い選択肢が絞られてくることになる。


同じような行動を選ばれている方も多いのではないだろうか。そうなると、以前通っていたロードサイドの居酒屋がどうなるか。客足はガタ落ちだろう。実際に夜、それらの店の前を通ったところ、以前に比べると相当に停まっているクルマの数が減っていた。そこには人気の焼肉屋や百円均一の寿司屋さんがあって、週末なら順番待ちが出るほどだったのに、今は見る影もない。


最近、仕事で岐阜市へよく行く。そこでタクシーに乗って話を聞くと、やはりこれぐらいの地方都市でも影響は深刻なようだ。なぜなら岐阜市ぐらいになると、交通手段はそれこそ車しかない。JRは東海道線が走っているとはいえ、それでカバーできるエリアはごく一部。バスが走ってはいても、本数の問題もあり現実的な交通手段とは呼び難い。といって市街地中心部からタクシーで帰るとなると、それこそ一回飲みに行けるぐらいのタクシー代がかかる。当然、客足は遠のくだろう。


だから今回の飲酒取り締まり強化が影響を与えているのは、ロードサイド居酒屋だけとは限らない。地方都市では市街地中心部の飲食店にも影響が及んでいる。


こうした事態を受けてワタミの渡邊社長などは「外食業界の9.11」などと発言しているようだ。つまり外食業界が一大転機に差しかかったという認識があるのだと思う。解決策は極端な話、二つしかない。


お酒を出さなくても来てもらえるだけのメニューを揃えるか、お酒を出しても安全な代替策を用意するか。


居酒屋チェーンのマルシェでは郊外の直営店を「ご飯タイプ」に転換して、乗り切ろうとしているようだ。これはこれで、まっとうなアイデアである。が、利益率の高いアルコール類の売上ダウンは利益率に直結する可能性が高い。手の込んだご飯メニューと、注いで(あるいはビンのまま)出すだけのアルコールでは手間のかかり方もまったく変わってくる。


一方では「足」を用意するところも出て来たようだ。運転手を雇い、車を用意し送迎サービスをやる。これなら客は安心して飲める。飲める場所が少なくなっている中でのこうしたサービスは、恐らく高い集客効果を発揮するだろう。が、これはサービスの満足度と採算性を厳しく考えないといけない。つまりお客様を長い時間待たせないためには、ドライバーと車を何セット用意すればいいかという問題がある。しかも、自前で用意すればタクシー会社などにアウトソーシングするより安くはつくだろうが、固定費負担が大きくなる。お客様の少ない日などはコスト負担だけがかかることになる。ここをどういう仕組みで乗り切るか。


と考えれば、こうしたサービス提供サイドにチャンスがありそうな気がする。まさしく法改正にチャンスありなのだろう。さて、どんな居酒屋サービスあるいは居酒屋関連サービスが今後出てくるか。これはなかなか注目である。





昨日のI/O

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昨日の稽古:富雄中学校体育館

・基本稽古(重心の移動を注意して蹴りの稽古をやりました)
・約束組み手
・自由組み手