東大生のノートは売れるか
B5サイズで157円
高いのか安いのか、よくわからないのだけれどコクヨから新しいノートが出る。これがちょっとおもしろいノートである。どこがおもしろいノートなのかといえば、その開発プロセスだ。すなわち、謳い文句は「現役合格東大生を調査して開発された」ノートである。
文藝春秋とフリーライターの太田あや氏との共同研究により、東京大学に現役で合格した生徒が使用したノートを元に開発したもの(→ http://www.itmedia.co.jp/bizid/articles/0809/18/news123.html)
なのだ。
では、具体的にどこが普通のノートと違うのか。横ケイに等感覚のドットが入っている点が、これまでなかったところ。ドットを入れることによって得られるメリットは、ノートをキレイに書けることだという。
確かに横ケイだけでは、メモの書き出しの頭を揃えることが難しい。あるいは表組や図形などを書くときにも、あたりがあった方が書きやすいのは確かだ。言われてみれば「そうね」と同意するけれど、じゃあ方眼ノートでもいいんじゃないのかなと思わないでもない。
つまり、ドットを入れたことが従来ノートとの差別化ポイントであるわけだけれど、それによるメリットはそれほど強烈じゃないと考えられるわけだ。しかし、このノート、マーケティング的にはうまいことやっているなと思う。なぜなら、そのノートのメリットの背景として東大に現役合格した生徒のノートを研究して開発した、というストーリーがセットされているから。
共同研究では、多くの現役東大合格生は、書き出しをそろえたり、内容ごとに書く場所を決めたり、後で読み返ししやすいように美しく記入するよう工夫をしていたことが分かった(→ http://www.itmedia.co.jp/bizid/articles/0809/18/news123.html)
こんな話がくっついてれば「なるほど。きれいにノートを書くから東大に合格するのか」といった錯覚を抱く人もいるだろう。狙いは言うまでもなく「このノートを使えば(何となく東大に合格できるような気になる=東大生と同じノートの取り方をするのだから=東大生のように)賢くなれるのかもしれない」と思ってもらい、一人でも多くの人に買ってもらうことだろう。
しかも、今回の東大ノート企画には、さらなるだめ押しプロモーションもセッティングされている。このノート開発のための研究成果をまとめた本『東大合格生のノートは必ず美しい』が出版されるのだ。かなり気合いの入った企画ではないか。これはとりあえず話題作りにはなるはずだ。
個人的にも、東大合格生がどんな風にノートテイクしているのかという点には確かに興味がある。といっても、その理由は対象が東大生だからというわけではなく、基本的に人のノートにはとても興味があるからだ。もちろん、この場合の「人」というのは「積極的にノートを書く人」という意味である。
話は脱線するけれども、いまいちばんノートをのぞいてみたい相手は、佐藤優さんだ。この人が、どんな風にノートを書いているのか、ものすごく気になる。
さて、一見なかなかおもしろい企画で、たかだかノートを売り出すのに、そこまでやるかという気合いの入り方が結果としてどうでるのか、これは見物である。
同時出版される本も立ち読みはしてみたい。本当に東大合格生のノートが必ず美しいのかどうか。30年も前になることなので、今とは事情が違うのだろうけれど、少なくとも私の同級生で東大に現役合格した奴ら(確か8人位じゃなかったか)のノートは、決して「美しく」なかった。そもそも「美しい」というのがどういうことなのか、などなど興味は尽きない。と思わせてしまっていることが、このノート&ブック企画のすごいところでもある。
ちなみに個人的には、今年に入ってからずっと『コーネル大学式』ノートを使っている(上の写真のノートですね。ちなみにこれは1冊336円です)。このノートは最初からコーネル大学式レイアウトが施されていて、ケイ線が方眼タイプである。東大式と同じ理屈に従うならこれを使っても、きれいに書くことができるだろう。自分のノートはお世辞にも美しいなんて決していえないけれど。
取材メモは別として、ブログのネタ、メルマガの構成からミーティングのメモ、仕事に関する思いつきなどを全部一冊のノートに書きなぐっている。これまでと比べて一つだけ新しく工夫しているのが、表紙にインデックスを付けていること。このインデックスのおかげで、書いたノートを見返すようになった。おかげでいろいろなテーマについて少しだけ考えが深まっているような気がしている。
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昨日のI/O
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「東京は異国である」
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