5万円PCの未来


最安値なら100円


ノートパソコンで過激な価格破壊が起こっている。先鞭を付けたのはEeePC、これはASUSという台湾メーカーが『5万円パソコン』をキャッチフレーズに発売したもの。このマシンがヒットした。発売当初はハードディスクの容量が少なすぎるとか、バッテリーの持ちが悪いとか難癖つけられたけれど、その後どんどん改良されてきている。


そして同じようなパソコンをいろんなメーカーが出し始めた。たとえば同じ台湾メーカーならAcer、そしてヒューレット・パッカードもデルもミニノートを発売、HP製はかなり質感が高かったためにあっという間に売り切れてしまったらしい。


これらのミニノートパソコンはどれも7〜9インチぐらいのモニター(ということはA5サイズよりまだ小さいことになる)を備えていて、仕上がりサイズはだいたいA5より少しばかり大きいぐらい、重さは1キロを切るものが多い。早い話が軽くて、コンパクトで持ち歩きにはとっても便利というわけだ。


そして、この5万円ミニノートパソコンが売れている。


誰が買っているのかといえばビジネスマン。たいていのビジネスマンにとって基本的な仕事の多くは、これぐらいのマシンがあれば実はほとんどこなせてしまうのだろう。現実問題としてはメモリーやハードディスクの容量に限りがあるために、どうもWindowsVistaをびゅんびゅん動かすのには苦しいらしい。が、ビジネスでVistaを使う必要など実はあまりない。


そもそもパソコンを持ち歩いてまで何に使いたいのか。まず考えられるのがメールである。そしてネットを見ることが続くだろう。逆にいえば、ネットにつながるかどうかが何より絶対条件となるわけだ。そして、もちろんミニノートパソコンは、ネット接続可である。ということは、実はOSがWindowsである必要さえなくなる。


実際AsusEeePCは最初、OSにLinuxを載んでいた。ブラウザーFirefox、これでGoogleDocsを使える。つまりメールのやり取り(Gmailで十分だ)ができて、ブラウザーがそこそこ快適に使えて(Firefoxはかなり速いし)、ブラウザーが使えるということはGoogleが無償提供してくれるワープロ(GoogleDocs)、スプレッドシート、プレゼンソフトが全部使える。WindowsもOfficeもいらない。


得意先がどうしてもOfficeじゃなきゃダメ、受け付けませんというケースは考えられるけれど、そのときだけは事務所に戻ってから最後の仕上げをすればよいだけのこと。途中段階の作業はGoogleのソフトで十分進められる。


そしてミニノートパソコンには百円モデルが登場した。


これは0円ケータイとまったく同じモデルと考えていい。すなわちケータイの端末はタダで提供する、その代わり、通信料はきっちり(最低でも1年間)払ってもらうモデルだ。


まったく同様にパソコンを100円(!)で提供する代わり、ネット通信は特定のキャリアと契約してもらう。パソコンの代金はキャリアが量販店などにキックバックする。量販店は自腹をいためずにパソコンを売ることができ、キャリアは販促コストは必要だけれど、2年間の通信料でしっかり儲けることができる。ユーザーはどのみち通信料はどこかに払わなくてはならないのだから、この際たったの100円で新しいノートパソコンを手に入られるのは、めっちゃお得感がある。


そりゃ売れて当然だ。


さて、ここで問題となるのが同じようなミニノートパソコンを日本のメーカーはどこも出してくれないこと。なぜ出せないのだろう。出そうと思えば出せるけれど、あえて出さないのか。それとも出したくてもコスト構造の問題があって、出すことができないのか。準備は進めているけれど、横並び意識が未だに強くて、どの日本メーカーが最初に出すのか機会をうがかっているのか。


いずれにしても早く出さないと、置いてきぼりにされてしまわないか。


ただ、こうしたパソコンの価格が5万円ということは、価格だけ比べるならもろにケータイとぶつかってくることになる。もちろん、ミニノートパソコンで電話を掛けることはできないから、直接バッティングすることはないのだろうけれど、スカイプが普及してみんなが使いだすとどうなるのだろうか。


Mac使いとしては、Appleが同じようなミニノートパソコンを出してくれることを祈るばかりだ。と考えたら、AppleiPhoneを進化させるという選択肢があることに気づいた。しつこく書いているけれど、あれにキーボードがつけばミニノートパソコンの上をいくんじゃないのか。どうなのだ、Appleさん?




昨日のI/O

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