権力は腐敗する



支持する45%、支持しない47%


日経が実施した世論調査の結果では、鳩山政権に対する支持率が下がり、ついに支持しない人の方が多くなったとある。新聞によれば、その原因は「小沢問題」ということになる。本当だろうか。


別に小沢氏の肩を持つわけではないが、どうも小沢問題についてはマスコミ各社がスクラムを組んで徹底報道しているような気がしてならない。確かに今をときめく権力者のゴシップとあれば、追いかけたくなるのは仕方がないこと。みっちり張り付いて取材をすれば、そりゃあいろんなホコリも出てくるだろう。


しかし、である。いわれているように検察の状況があまりにも逐一、しかも迅速に出てきているような気は確かにする。あくまでも感覚的な話で裏付けはまったくないけれど、過去にいろいろあった同種の問題が報道されたときと比べれば明らかに違和感がある。


そこで一つ仮説を立ててみた。その背景となっているのは、先日のエントリーでも書いたように(http://d.hatena.ne.jp/atutake/20100110/1263102238)、民主党は現状を第三の革命=情報通信革命と見ていること。この民主党の見方を踏まえて考えれば、既存マスコミの利害ともろにバッティングするのではないか、という仮説が出てくる。


早い話、既存マスコミにとって民主党は敵ではないのだろうか。なぜか。現状が情報通信革命であると考えるなら、その先の世界を民主党は当然考えるだろう。仮に情報通信革命が成就し新しい世界ができたとき、既存マスコミの役割が無くなるまでは決して思わないが、少なくとも現状のような影響力を保持することと、その力をバックとした収益構造をそのまま維持することは難しいだろう。


革命が起こったときに被害を受けるのは、決まって既得権益層なのだ。これは歴史が証明している。


実際、民主党はすでにある種の革命を実行しつつある。政府機関での意志決定を大臣、副大臣政務官が取り仕切る。官僚はあくまでもその意志決定をサポートする役割に止まる。もちろん官僚の力を否定するわけではないし、現行制度がすべてダメだなどとも思わない。消費性向と乗数効果を質問されてしどろもどろになる大臣は、やはり官僚がしっかりサポートすべきだと思う。


しかし、そうした官僚依存、いやむしろ官僚主導が、これまでの日本を作ってきたのだ。「作ってきた」の側面には、日本をある面ではダメにしたという意味も含まれている。何より最大の罪は、税金を無駄に使うことで、未来を担う子ども達に巨額の借金のツケ回しをしていることだ。


そこにメスを入れようとしている民主党は、一部の官僚達(もう間もなく天下りできそうな人たち、つまり今の官庁で比較的権力を持っている人たちには特に)にとっても不倶戴天の敵と映っていることだろう。だから官僚とマスコミのいずれもが、既得権益を死守するために民主党つぶしにかかる。そこに格好のネタとがなったのが、小沢氏の一連の問題ということなのではないか。


もとより、これはあくまでも仮説だから真偽のほどはわからない。だが、小沢氏の問題意識は「若い世代が、子育てを前向きになれる社会を作ること(『ゲーテ』3月号14ページ)である。さらに小沢氏は「学校教育で子供達をきちんとしつけていくしかない。僕はその作業に30年はかかると、見ています(前掲誌19ページ)」というように、思考のスパンを30年先にまで向けている。


60年以上も続いた自民党・官僚癒着体制(癒着しているのは官僚だけじゃないと思うけれど)からの変革を、民主党はやろうとしているのだ。既存の価値観や判断基準は大切だが、そこはいったんカッコに入れて見ることはできないのだろうか。


小沢氏の出自は自民党であり、田中角栄氏の子飼いであった人でもある。叩けば出るホコリだってないとはいえないだろう。しかし、この先の日本の姿を真剣に見据えている人であることも間違いないと思う。


だから、今こそ、みんなが、ほんの少しだけで良いから、マスコミ報道に対して「それって本当だろうか?」とか「マスコミの報道通りだとしたら、結局誰が得するんだろう?」ぐらいの疑問をもって接することが必要だと思う。



昨日のI/O

In:
『日本で最も人材を育成する会社のテキスト』酒井穣
Out:
森永卓郎氏インタビューメモ

昨日の稽古:

・ジョギング5キロ/40分