時間軸と空間軸


警告<目覚めよ!日本> (大前研一通信 特別保存版 Part.?)

警告<目覚めよ!日本> (大前研一通信 特別保存版 Part.?)


このブログは、R+さんから献本いただいた『警告 目覚めよ!日本』大前研一著についてのエントリーです。


8000万戸の空き家


中国ではいま、とんでもない不動産バブルが破裂寸前になっている。投機用マンションの空き家が8000万戸あるらしい。そりゃあ人口が13億4500万人もいるのだから、それぐらいの空き家があってもおかしくないのかもしれない。が、思いっきりバブルが膨らんでいるのは間違いないだろう。


これが破裂するとどうなるか。


中国経済に急ブレーキがかかる。そうですか、中国も大変ですね。では、済まされない。空間軸でものを考えれば、日本経済にも大きな影響があることぐらいは予想が付くだろう。大前研一先生は「世界は一気に負のスパイラルに突入するだろう(『警告 目覚めよ!日本』大前研一/ビジネス・ブレークスルー出版、11P)」と警告されている。


では、時間軸でものを考えればどうなるか。


アメリカの次の大統領選の読みだ。大前先生は「歴代の米国大統領を見ると、有効な雇用対策を打ち出せなかった大統領が再選される可能性は極めて低い(前掲書、21P)」と説く。アメリカの失業率は9%台で推移しており、潜在的な失業者を加えれば「5人のうち1人に職がない(前掲書、20P)」状態だ。オバマ氏の再選は、極めて危ういと言えるのではないか。


あるいは、いまヨーロッパを揺るがしている金融危機について。イタリアがいよいよ危ないと言われ出すと、フランスの銀行もやばいという話が出てきた。イタリアとフランスにどんな関係があるのか。フランスの銀行のPIIGS諸国向け与信残高を見ると、答えがわかる。貸付総額が多いのはフランスとドイツで、フランスの貸し付けの3分の2がイタリア向けなのだ。


「イタリアが財政破綻でも使用ものなら、仏独の銀行はともに大きな打撃を受けることになる(前掲書、25P)」。見るべきは「どの国(の銀行)が、どこの国に、どれだけ貸しているのか(前掲書、26P)」だ。


大前先生の指摘は、数字や歴史による裏付けがある。日本のマスコミが報道しない(できない?)情報を的確に集め、空間軸と時間軸を切り口に考えていく。学ぶべきは、大前流の『考える方法』だ。


最近、情報分析系というか、時事ネタに対していろいろなコメントを寄せるブログが増えている。中には、しっかりと考え抜かれた意見をわかりやすく表現されたものもあるが、感情的に正義感を振り回したり、やたら煽動的になっていたり、妙にシニカルなものも多く見られる。


危険なのは、一応名の通ったブログサイトに投稿されている、そうしたブログを読んで、書かれていることを鵜呑みにすることだ。自分が納得できる意見を見つけると、それが自分の考えたことだと錯覚するケースもあるかもしれない。でも、それは『自分で考えたこと』にはならない。


大切なのは、まず自分が問題意識を持つテーマをはっきりさせること。そのテーマに関する情報(可能な限り統計データが良いのだろう)を、自分で集めること。その上で、自分なりの空間軸・時間軸でもって考えてみること。この一連の流れを、自分のクセとしてしまうことではないか。


そのために大前先生は「投資するなら『肩から上』に」と諭されている。


本書のタイトル『警告』が何を意味するのか。それは、やがて、ほぼ間違いなく日本を襲うであろうハイパーインフレである。この悲劇を逃れるための方法は増税以外にない。たくさん税金を取られるのは、誰だって嫌だ。しかし、日本国債がデフォルトに陥ることを思えば、例え消費税率が20%になっても(これぐらいにしないとダメみたいだ)、ハイパーインフレよりよほどまし。これが先生の見立てである。


だから、一人ひとりがしっかり考えて『目覚めよ!日本』なのだ。


昨日のI/O

In:
『老年期うつ』
Out:
ブックレビュー原稿

昨日の稽古:富雄中学校武道場

基本稽古
下段蹴りの受けの稽古
下段蹴りのミット稽古
掴みありの受け返しの稽古
組み手稽古