人の幸せを祈る人
一等賞:交
二等賞:決
三等賞:昇、暖、礼、幸
昨夜、ちょっと変わった忘年会、いや望年会が開かれた。今年を忘れるための会ではなく、新たな年を望む会である。主催者は、以前にもご紹介した曽和さん。忘年会一つとっても、人とは違う発想をする人なのだ。
しかも、この望年会には特別の企画が用意されている。自分が来年に期する思いを込めた漢字一文字をあらかじめ考えておき、会場で色紙に墨書、その意図を参加者にプレゼンするのだ。これが盛り上がる。宴の最後には全員が書いた文字を並べてあれこれ見比べ、どれが良いかを投票で決めるのである。イベント企画のプロならではのすてきなアトラクションだ。
その結果が、冒頭の通りとなった。
各自がそれぞれに思いを込めた一字である。私は『幸』に一票を入れた。なぜなら、この一文字に込められた想いに心を洗われる気がしたからだ。『幸』と書いたのは女性である。
その方は、自分の人生はこれまで順風満帆、幸せに満ちていると想われてきたそうだ。ところが、今年は思いもよらぬことがいろいろあり、幸せのもろさに気づいたという。だから、改めて新しい年は幸せになりたいとコメントされた。
ここまでは極めて真っ当なことであり、これだけならこの方の『幸』よりも他の方の文字を評価したかもしれない。ところがこの女性のプレゼンにはまだ言葉が続いた。うろ覚えだが次のような内容だ。
願うのは自分の幸せだけではなく、周りにいる方、関わりある方みんなが幸せでありますように
確かにこうおっしゃったのだ。
この一節を耳にしたとき、気持ちがふわっと軽く、そして温かくなったような思いがした。それがなぜなのか、しばらくわからなかった。だが、自分が発表したことを省みて、さらに他の方たちのスピーチを聞いているうちに、気持ちを和らげる温もりの正体に気がついた。
みんなが語ったのは、自分の、あるいは家族の、あるいは自社の来年の希望や理想だ。ところが、この方が書いた『幸』には、大勢の参加者の中でただ一人だけ、自分のみならず自分が関わるすべての人への想いが込められていた。その優しさ。それでなくとも、今年は余りよいことがなかったと言いながら、一年の最後には、来年の人の幸を祈る。
そんな人がいたことに対する喜び。そんな人と出会える機会を得られたことに対する感謝。いろんな思いに気づくことができた、とてもよき望年会だった。
そんな出会いを創ってくれた曽和さんに、まず感謝である。
そして優しい気持ちを教えてくれた西村さん、本当にありがとうございました。教わりました。
昨日のI/O
In:
『図解よくわかるこれからのマーケティング』金森努
Out:
P社取材メモ
商工会議所イベント取材メモ