AIDEES的現象


日本からの訪問者212万人


といっても海外旅行の話ではない。アメリカの映像投稿サイト『YouTube』へのアクセス数である。しかも、この数字は今年3月の月間訪問者だという。一ヶ月で200万人といえば、そんなに莫大な数字ではないかもしれないが、これが日本のサイトではないことがポイントだ(日経産業新聞5月8日)。


記事によれば、日本国内のサイト利用者の5.2%が訪問したことになるという。これは英語のサイトとしては非常に高い訪問率だと書かれている。まさに動画サイトならではの強みだろう。
http://www.youtube.com/


言葉がわかる方がおもしろいことは間違いないけれど、わからなくてもそれなりに楽しめるのが動画である。テキストとグラフィックだけのサイトなら、絶対にそうはいかない。動画をサクサク見ることができるブロードバンド時代だからこその現象だと思う。そして、一昨日のエントリーでも書いたけれど、このトレンドが次に伝播していくのは携帯の世界である。


ともかく、次が動画の時代になることはほぼ間違いない。そして、動画といえどもそこそこには見れるぐらいのものを、誰でもが創れる時代にもなってきている。たとえばMacを買えばiLifeというソフトがついてくる。これを使えば誰でもちょっとした映画並みの動画を、それほど複雑なことをしなくても創れるようになる(もちろん、映像センスが必要ではあるのだけれど、それでもたくさんの人が映像作りにチャレンジすれば分母が増えるわけで、結果的にはおもしろい作品が世界中で増えていくことは間違いないだろう)。


ここで少し拡散モード。


誰もが動画を創って、簡単に配信できる時代となると、個人の動画視聴時間をめぐるシェア争いが起こるんじゃないだろうか。テレビを見るか、DVDやビデオを見るか、ネット配信を見るかといった具合に。いずれにしても一日は24時間しかないのだから、この時間を巡っての争いが起こるはずだ。


もう一つ。個人が創る動画の中には、おもしろいものが必ずあると思う。特定のジャンルで人気を集める作品も出てくるだろう。そこには特定の志向をもった人が集まるわけで、広告を入れることも考えられる。これはロングテール現象の一環として頭に置いておいた方がいいだろう。


話を戻すと、YouTubeへの日本からのアクセスルートがAIDEES的現象だってこと。これも記事によれば、利用者の37%が19歳以下で、その多くがブログやSNSを通じて口コミで、このサイトのことを知ったという。


ここで着目すべきは、
19歳以下というセグメントターゲットは、
たとえ英語であっても映像サイトにはどんどんアクセスし、
情報入手ルートとして口コミが機能している
ということだろう。


これは、まさにAIDEES現象といえる。つまり
 Attention:注目
→Interest:関心
→Desire:欲求
→Experience:購入・体験
→Enthusiasm(熱意・心酔)
→Share(推奨・忠告)
の流れにきちっとはまっている。


ミソは対象がモノではなく、映像コンテンツであること。これはアクセス、即体験を意味するわけで、中には心酔してしまうような作品がすでにある程度の数あるのだ。そして、おもしろいものを見つけたら、速攻ブログやSNSで推奨するのが、19歳以下世代の行動パターンというわけだ。


とりあえずAIDEES(アイデス)理論、エンターテイメントのジャンルでは一つのエビデンスが出たのだと思う。そして、しつこいけれども、口コミとなるとパソコン/ネットよりも携帯である。と考えればAIDEES
は、これから始まる携帯2.0の時代を予言する理論なのかもしれない。





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