寺子屋教育的

知命

子曰、吾十有五而志於学。三十而立。四十而不惑。五十而知天命。 まだ五十には少し間があるし、天命などというたいそうなものが自分に与えられることはないかもしれないと思うのだが、とりあえず「これは」と思う文章と出会ってしまった。内田樹先生といまの…

スルー力の問題

『スルー力』なる言葉がある。 スルー力 (するーりょく、するーちから) とは、物事をスルーする能力の事であり、高林哲氏により提唱された概念である。 この概念におけるスルーの定義は、ものごとをやり過ごしたり見て見なかったことにしたりすることを指…

教育大国フィンランド

人口520万人で世界一 国際学習到達度調査による読解力世界ランキングでフィンランドは一位、日本は十四位。二位が韓国で香港が十位、アメリカ、中国、インド、ロシアなどは十五位までのランクには入っていない(日本経済新聞1月14日)。 フィンランドの子ど…

やる気とほうび

寺子屋5人、空手20人、勉強会議17人 幼稚園児から20代半ばの方までと一緒にいろんなことを学んでいる。一応、教える側にいるので、もっとも意識するのは相手のモチベーションだ。寺子屋こそ、みんなのモチベーションレベルはそこそこ揃っていると思っている…

文高低理問題

92年度:約67万人→05年度:約38万人 大学での工学部志願者が、この十年ちょっとでほぼ半減してしまった(日本経済新聞1月29日)。センター試験受験生の意向にも明らかな文系指向が見られるらしい。これは困ったことである。なぜなら日本の未来は付加価値創造…

学力のチャイナクロス

全授業の15%が英語 中国は清華大学でのお話。清華大学といえば北京大学と並んで、日本の東大・京大に当たるようなトップ校である。この清華大学では新入生全員に対して夏休みに一ヶ月間、英語漬けの合宿特訓も課せられるそうだ(奈良新聞1月12日)。 そこま…

1+1の四つの意味

人は1+1の意味と何回出会うか。 最初の意味についてはたいていの人が、おそらく小学校一年生の時に(あるいは、それより一二年早くに)出会う。いわゆる初歩の初歩の算数としての1+1、すなはち「いち たす いちは に」ということだ。 これが長じて中学生…

素数って何やねん!

11と13、17と19、三ケタならまず101と103 双子素数というのだそうだ。素数とは「1とそれ自身以外では割り切れない数」のことであり、1は素数に入れない。これぐらいは、皆さん小学校時代に習ったことがあるはず。素数に続いて素因数分解をやり、そこから通分…

数学も面白いのに

一問につき6つぐらいは解法がある。 数学の問題の話。たとえば時計の短針と長針は12時ちょうどに重なっている。これが次に重なるのは、何時何分かといった問題がある。この問題、ものすごく昔の記憶をたどると、たしか自分が受けた中学の入試に出ていたよう…

歴史は面白いのに

補習50回でオッケー 高校の履修漏れ問題は最終的に、いつも通りの玉虫色の解決策に落ち着いたようだ。とりあえず、まじめに履修してきた生徒たちに対する公平性の問題はスルーされたままである。 そこはとりあえずおいておく。 今回は公平性の問題ではなく、…

ちゃんと寝て・食べて・運動する

21:45から23:00に 子どもの寝る時間が遅くなっているらしい。過去30年で平日に子どもの起きる時間は変わっていないのに、就寝時間は一時間以上遅くなっている(日本経済新聞10月25日・夕刊)。 成長ホルモンを正常に分泌させるためには、遅くとも10時ぐらい…

教員免許に更新制は必要か

指導力不足506人 全国の公立小中高教員約89万8千人のうち、都道府県などから「指導力不足」と認定された先生の数だ。パーセンテージにしてわずかに0.056%に過ぎない。一見、とても少ない数字であるように思う。 → http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/2006092…

教師には武道を

前年対比6.7%増 公立小学校での校内暴力は、三年連続で過去最多を更新しているという(日本経済新聞9月14日)。昨日の朝のテレビで暴力を受けている教師が取材に応じていた。彼のセリフによれば「黒板に書いていると、ハサミが飛んでくることもある。だから…

魔法の分数

半径3cm、弧の長さ4.71cm このおうぎ形の中心角は何度か? 息子が今度は円を習っている。そこで、この問題はといえば 3×2×3.14×□÷360=4.71 という式の□を求めればいいわけです。 ここでわり算が出てくるのが、一見いかにも面倒。なんだけれども、わり算は極…

方程式の意味を考える

対角線の数が77本になる多角形は、何角形か いま息子が多角形シリーズを学んでいるので、コーチとしても復習しなけりゃならない。さて、まず多角形の対角線の数は、どうやって数えれば良かったっけ? と子どもと一緒に考えてみる。 とりあえず三角形に対角線…

安易に方程式はダメみたい

n角形の内角の和は n角形の外角の和は 内角が179度の正n角形は こんな問題を教えるときにどうするか。最悪なのは、どうもこんな感じらしい。「ええか、n角形の内角の和はな、180×(nー2)で計算するんや。そう決まっとんねん。よう覚えとけよ」と。ところが…

がんばれは、ダメ!

小学生7割、中学生5割 これは、自分で自分のことを好きだと思う子どもの割合(『週刊ダイヤモンド』8月12・19合併号)。エッと思うぐらいに少ない(と思いませんか)。正確には好きだと思っていない=嫌いというわけでもないはずで、おそらくはまともにそん…

そのひと言、相手のためになる?

「そんなん、当たり前やろ」 これ、子どもとの会話での、特に何か質問を受けた時の、一番の禁句じゃないかと思うようになった。当たり前なのは自分が大人だからであって、もともと子どもと大人では知識の量が違う。大人にとっては知っていて当然のことでも、…

離散的な数と連続的な数

1個、2個、3個と1cm、2cm、3cmの違いは何か 寺子屋の算数が、いま小数にさしかかっている。小数の考え方が入ってきて始めて、数には二種類あることがわかる。つまり、ものを数える個数は整数(それも基本的には正の)の世界である。これに対して距離や量を計…

ダブル・バインドの危険性

<親、またはコーチ>なんで、あかんかったかわかるか? <子ども>・・・。 <親・コーチ>ほんまにわからんのか! <子ども>(しぼりだすように)○○○やったからですか。 <親・コーチ>それがわかってて、なんででけへんのや <子ども>・・・。 こうした…

服は思考に影響を与えるか

3年生までなら30%、それ以上の学年なら5%以下 小学生でスカートをはいている女の子の割合である。あくまでも直感的データであり、私の住んでいるエリアで登校時に観察した結果、だいたいこんなもんだろうというぐらいの数字でしかない。しかし、制服で…

なぜ彼は火をつけてしまったのか

一学年百人足らず 彼が通っていた学校の30年ほど前の姿である。その学校は東大寺の参道を大仏殿に向かって進み、南大門を抜け小道を左に入ったところにあった。中高合わせて全校生徒600人足らず、グラウンドもまとまにないような学校だった。しかし関西…

旅人算おもしろい

旅人算8問で20分 相変わらず、息子の算数のテキストを一緒になって(というか競争しながら)やっている。小学校4年とはいえ、なかなかに手強い。でも、だんだんおもしろくなってきた。 たかが旅人算とあなどるなかれ。 時系列での人の動きを考えていくこ…

算数恐い

1、2、3、2、3、4、3、4、5、4、5、6、5、6、・・・ こんな数列があるとき、左から数えて100番めまでの整数をすべて加えるといくつになりますか。 これが基本問題。といっても高校ではなく、中学でもなく、小学校4年である。こんなのでき…

子どもとネットの付き合い方

14日でアクセス数847 息子が始めたブログの話だ。一日平均60ぐらいのアクセスを集めていて、それってちょっと多くないか、などと思ったりしているのだが、ま、それはおいといて。 ログを確かめたわけではないけれども、たぶん今のところ見に来ている…

ゴーンさんの鳥の目

2兆円の借金を5年で返した人 死にかけていたというか、ほとんどひん死というか。実は半分以上死んでいたという噂もある日産を建て直した人、カルロス・ゴーンさんである。今でこそ日産の救世主だとか、理想の経営者だとか、それこそ稀代のCEOとして賞賛…

中一プロブレムの乗り切り方

中一プロブレムなるものがあるそうだ。 中学校に入学したての子どもたちが陥りがちな症状をいう(日経新聞4月17日)。小学校と中学校の間にあるギャップによって受けるショック、そこから引き起こされるストレスのようなものらしい。 ところで小学6年と…

フィンランドの作文練習法

「楽しい つまらない 夏休み 学校 友だち 先生 勉強する 遊ぶ 会う 仲良し がっかりする 満足する」 この12の言葉をぜんぶ使って、どれだけ短い作文を書けるか。こんな作文練習をフィンランドの小学校ではやっている。ポイントは、できるだけ短くという点…

中学生は未来の分かれ道

13歳のハローワーク作者: 村上龍出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2003/12/02メディア: 大型本購入: 16人 クリック: 566回この商品を含むブログ (236件) を見る 514種類 『13歳のハローワーク』で紹介されている仕事の数だ。まわりにいる子どもが中学に…

『学ぼう算数』の使い方

学ぼう!算数 中学年用 上 [推奨学年3年]作者: 岡部恒治,西村和雄出版社/メーカー: 数研出版発売日: 2005/03メディア: 単行本この商品を含むブログ (6件) を見る cos60°がわからない=16% ある国立大学理系学生の話らしい。今月号の『VOICE』誌で『学…