カラスマ朝読書会


日本の大転換 (集英社新書)

日本の大転換 (集英社新書)

『日本の大転換』中沢新一


ちょっと変わった読書会に参加している。そもそも主催者が変わった人物である。大学を卒業後、関西での超優良企業に就職。が、グロービスに転職してコンサルタントとなる。キャリアパスとしては申し分ない、と私のような凡人は思う。これでアガリという奴だ。


が、彼は違う。グロービス辞めてどうすんですか、を平然とやってのける(平然だったかどうかは、本人に直接確かめたことないけど)。で、どうしたか。大学院生となったのだ、京都の同志社大学MBAビジネススクールである。優雅やなあ、と思ったりする。


最初に入った会社も、グロービスも、よっぽど給料良かったんやなあとうらやましがったりする(本当に給料が良かったのかどうかは、本人に尋ねてみたことはないけど)。よって、いまは大学院生さんである。ちょうど今頃は修士論文をさらさらと書かれているはずだ(さらさらと書いているのかどうか、見たわけじゃないけど)。


その名を北林さんという。何年か後には、京都の伝統産業界でちょっとした有名人になっているはずだ。その北林さんに誘ってもらい参加しているのが通称『スマ読』、正式名称をカラスマ朝食読書会という。


私が参加したのは、2カ月ぐらい前のことだったか。以前、このブログで紹介した曽和裕次さんthe『人が集まる人』が主宰される京都ブレックファーストクラブで北林さんとお知り合いになったのがキッカケだ。朝読書会をやってるので、良かったらのぞいてみてください、とかなんとか。


聞けば開催場所は家から歩いて3分のところ。もとより朝は得意である。じゃ、一度のぞいてみようと思ってきたのが、たぶん夏の終わり頃だったか。読書会といえば、ほとんど勉強しなかった大学時代に唯一、ちょっとは真面目にやっていた活動だ。友人とラッセルやフロムの原書を、あ〜でもない、こ〜でもないとぐだぐだ言いながら読んだ。


さて、今度の読書会はどんな感じなんだろうと、いささかワクワクしながら行ってみると、これがまた、何ともまったりした読書会である。もちろん読むべき本は決まっている。どこまでを範囲とするかもあらかじめ予告されている。が、別に読んでいない人が参加しても、全然オッケーである。おぉ、なかなかアバウトではないか。


で、読書会といっても、例えば「この章で著者が訴えたいことは何だと思いますか」「私は、これこれこいうことだと考えますね。その理由は、うんぬんかんぬん。しかし、個人的にはそれは違うと思うのです。なぜならば、どうたらこうたら」的コメントが発せられる、わけではまったくない。


どちらかといえば「この人は、こんなこと言うたはるのがええですね」とか「そうそう、ここ、私もええなあって思たんです」「でも、ちょっと、ここは理屈が飛んでるような気がしますわ」といった案配で時が流れていく。途中で「そういえば、こないだね………」みたいな本筋に関係あるのかないのかよくわからないところにずれていくことも、まったく没問題(メイウェンティ/北京語・モーマンタイ/広東語)なのだ。


良いでしょう、このゆるさ加減。


でも、その会に参加することで、これまでならたぶん読まなかった本と出会うことができた。読書会では取りあげられなかったけれど、プレゼンで上がった本も読んだりしている。確実に自分の読書世界が広がっている。


ちなみにプレゼンというのは、次のテーマ本を決めるために、各自が「この本、おもろいで」と好みの本を持ち寄って「ここがおもろいねん」と、その良さをアピールすること。そんなんあらかじめネットでやればええやないのと思うなかれ。要は本をネタにして、会って話をすることに主催者は意味を見出しているのだ(と思う)。しかも、アマゾンで見ているのと、誰かがオススメするリアルな本を目の前にするのとでは、本の実感が圧倒的に違う。本との理想的な出会い方、といってもいいだろう。


メンバーはたいてい、フェイスブックでつながっている。でも、というか、だからこそリアルで逢って話をすることがおもしろいのではないか。もっとも、ひたすら緩い話だけに終始しているわけではない。今朝などは、欧州危機はここ数世紀で最大のパラダイムシフトを引き起こす可能性がある、なんてシリアスな議論にずれていったりもする。


さすが主催者は元グロービスなのだ。国債金利と価格の関係について「それはね、こういうことなんですよ」とか「そもそも資本主義の信用創造機能はね」などといった本来なら難解な話をさらさらとわかりやすく説明してくれたりする。その説明を聞くだけでも参加する値打ちがあるというもの。


というスマ読、よかったら、一度のぞいてみませんか。開催は毎週火曜日、朝7時45分から。興味ある方は、ぜひお気軽に。



昨日のI/O

In:
『部下が病気にならないできる上司の技術』松本桂樹
Out:
POEMS症候群取材原稿
PEG取材原稿

昨日の稽古:富雄中学校武道場

基本稽古、移動稽古、下段蹴り受け、約束組み手